インターネット会社の雄!サイバーエージェントってどんな会社?
サイバーエージェントは、インターネット黎明期の1998年に藤田晋氏が設立したインターネット会社になります。当初は3名で創業しましたが現在の従業員は5000名を超える大手インターネット会社にまで発展しました。
また、サイバーエージェントは皆さん、ご存じの日経平均株価の採用銘柄でもあります。最近は「ウマ娘」のヒットでゲーム会社のイメージがある方も多いかもしれませんが、サイバーエージェントはゲームだけでなく様々な事業展開をしている会社です。
メディアに出る機会が多い会社なのでサイバーエージェントについて聞いたことがある方は多いでしょう。しかし、サイバーエージェントがどのような事業を展開しているか細かく知っている方は意外と少ないのではないでしょうか?
そこで今回は、サイバーエージェントについて詳しく説明します。かなり詳しく説明しますので、株式投資や企業研修の参考にしてください。
1. 会社概要
サイバーエージェントは1998年3月に当時、人材派遣会社大手のインテリジェンスに勤めていた藤田晋氏が設立したインターネット広告会社です。当初は3名からスタートしましたが現在、サイバーエージェントは売上高6664億円を超えるインターネット広告会社の最大手まで成長しました。
「ウマ娘」や「AbemaTV」など多くの方が利用している会社になりますので知名度も抜群です。
それでは、サイバーエージェントの沿革について見ていきましょう。
沿革
1998年3月:設立
バリュークリック社の広告営業代理業務開始
2000年:東証マザーズ市場に上場
2003年:アメーバブログ(現: Ameba)サービス開始
2006年:東京ヴェルディ1969を運営する株式会社日本テレビフットボールクラブと資本・業務提携を結び、同クラブの発行済株式総数の48.1%を取得、筆頭株主の日本テレビ放送網に次ぐ大株主となる
2013年:株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディング(現: 株式会社マクアケ)を設立
2014年:株式会社マッチングエージェント、マッチングサービス「タップル誕生」(現:タップル)サービス開始
東証マザーズから東証1部に市場変更
2015年:株式会社テレビ朝日との共同出資により動画配信事業を行う株式会社AbemaTVとニュースコンテンツ事業会社株式会社AbemaNewsを設立
2016年:インターネットテレビ局「AbemaTV」を本開局
2018年:Jリーグクラブ、FC町田ゼルビアを運営する株式会社ゼルビアが10月16日付で株式の80%をサイバーエージェントに譲渡、傘下に入ることが発表された
2. 事業の特徴
サイバーエージェントの事業セグメントは以下5つに分かれています。
1. メディア事業
2. インターネット事業
3. ゲーム事業
4. 投資育成事業
5. その他事業
それぞれのセグメントの状況についてわかりやすく説明します。
①メディア事業
メディア事業には、「ABEMA」、「WINTICKET」、「Ameba」等があります。 新しい未来のテレビ「ABEMA」への投資をしつつ、売上高は828億6900万円(前年同期比45.1%増)、営業損益は151億4100万円の損失計上(前年同期間182億6700万円の損失計上)となりました。
②インターネット広告事業
インターネット広告事業には、インターネット広告事業本部、AI事業本部、㈱CyberZ等があります。 広告効果の最大化を強みに、過去最高の売上高を更新し、売上高は3213億1300万円(前年同期比19.3%増)、営業損益は225億7000万円の利益計上(前年同期比7.1%増)となりました。
③ゲーム事業
ゲーム事業には、㈱Cygames、㈱Craft Egg、㈱サムザップ、㈱アプリボット等があります。 新規タイトルが大きく貢献し、売上高は2627億5100万円(前年同期比68.6%増)、営業損益は964億45万円の利益計上(前年同期比217.9%増)となりました。
④投資育成事業
投資育成事業にはコーポレートベンチャーキャピタル、㈱サイバーエージェント・キャピタルにおけるファンド運営等が属しており、売上高は64億4100万円(前年同期比57.4%増)、営業損益は44億800万円の利益計上(前年同期比43.7%増)となりました。
⑤その他事業
その他事業には、㈱マクアケ、㈱CAM、㈱ゼルビア等が属しており、売上高は217億4400万円(前年同期比10.9%増)、営業損益は4億7900万円の利益計上(前年同期比63.1%減)となりました。
3. 会社規模
時価総額:9557億円(2021年10月28日)
純資産総額:1276億円(2020年9月末)
資本金:72億円(2020年9月末)
従業員数:5344人(2020年9月末)
4. 業績
【業績予想は非開示】
「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」をパーパスに掲げ、インターネット産業を軸足に事業拡大を続けてきました。
メディア事業においては「ABEMA」の
WAU(ウィークリーアクティブユーザー)を継続的に伸ばしつつ、周辺事業を含めたマネタイゼーションの強化、インターネット広告事業においては、運用力と技術力を強みにシェア拡大に努め、ゲーム事業においては既存ゲームの運用強化と新規ゲームにおけるヒットの創出を目指していくようです。今後の進捗を踏まえ、算定が可能になり次第速やかに開示するとのことでした。
このようにサイバーエージェントの2022年9月期の決算予想はまだ未発表です。未発表の理由はゲーム事業の変動が特に大きいからとのことでした。
では、直近のサイバーエージェントの決算内容について見ていきましょう。
決算期 | 売上高 | 営業益 | 経常益 | 最終益 | 修正1株益 | 1株配 |
---|---|---|---|---|---|---|
2018.09 | 419,512 | 30,163 | 28,565 | 4,849 | 9.6 | 32 |
2019.09 | 453,611 | 30,825 | 30,493 | 1,694 | 3.4 | 33 |
2020.09 | 478,566 | 33,880 | 33,863 | 6,608 | 13.1 | 34 |
2021.09 | 666,460 | 104,381 | 104,694 | 41,553 | 82.3 | 11 |
2022.09 | - | - | - | - | - | - |
このようにサイバーエージェントの業績は非常に安定しています。また2021年9月期の決算は過去最高益を達成しました。今後も有望なコンテンツをたくさん持っていることから更なる業績進捗が期待できそうです。
5. 財務分析
株式投資や企業研究を行う上で財務分析は非常に重要です。
いくら成長が期待できる企業でも財務基盤が安定していなければ、安定的な経営はできないからです。
財務基盤は企業にとって非常に重要なものになりますのでしっかり確認するようにしましょう。
財務分析を行う方法は様々ですが、一般的には「成長性」「収益性」「安全性」の3つの側面を見るべきだといわれています。
それではサイバーエージェントの財務基盤を「成長性」「収益性」「安全性」から見てみましょう。
(1) 成長性
成長性は一般的には増収率 (売上がどれくらいのびているかを示す指標)で判断されます。
年20%以上の増収率を達成していればかなり優秀であるといわれています。
サイバーエージェントの2020年9月期の売上高は4758億円に対し2021年9月期の予想売上高は6664億円となっており、140%の増収です。
コロナの影響で巣ごもり需要があったとことが大きな要因ですが、先ほどの過去の決算内容を見てもここ数年の売上高は安定していることがわかります。
今後も安定して高い収益が期待できそうです。
(2) 収益性
サイバーエージェントの2020年9月期の当期純利益66億円に対し2021年9月期の当期純利益は415億円と約6.3倍となりました。今後の業績にも大きな期待が持てます。
(3) 安全性
安全性は自己資本比率が高いと良いとされていますが、33%以上の自己資本比率があると安定性は高いといわれています。
サイバーエージェントの自己資本比率34.33%(2021年9月時点)です。
また有利子負債は約424億円です。一見すると大きく見えますがサイバーエージェントの規模から考えると大きな問題ではないでしょう。
どちらにしても純資産対比まったく問題ない水準です。
6. トピック:サイバーエージェント、ゲーム頼みの最高益!ネトフリの壁厚く
サイバーエージェントが成長事業と見込むネットテレビ「ABEMA(アベマ)」が苦戦しています。新型コロナウイルス下で日本で攻勢を強めた海外勢などとの競争が激化し、2021年9月期のアベマ関連事業は6年連続の赤字でした。 てこ入れを急がないと広告などで稼いだ資金をネットテレビに注ぐ戦略の見直しを迫られる可能性もあります。
サイバーエージェントが10月27日に発表した21年9月期の連結純利益は前の期の6倍の415億円でした。
株式売却益を特別利益に計上したこともありますが、本業のもうけを示す営業利益も3倍の1043億円に増えました。いずれも過去最高となり、藤田晋社長は同日の記者会見で「ゲーム事業の新規タイトルのヒットが大きかった」と話しました。
ゲーム事業の営業利益はスマホゲーム「ウマ娘プリティーダービー」のヒットにより前の期の3倍の964億円となり、会社全体の9割を稼ぎました。広告事業も225億円と7%増えました。
こうした事業と対照的だったのがアベマを軸とするメディア事業です。同事業の営業損益は151億円の赤字と、前の期よりも31億円改善したものの赤字が続きました。
サイバーエージェントは2016年にアベマを開始。「安定したメディアプラットフォーム事業を作り上げる」(藤田社長)と中長期での成長を重視しているものの、足元の事業環境は厳しくなっています。
アペマは利用者からの月額の課金収入と動画内の広告収入が売り上げの約半分を占め、会員数の増減による影響が大きい。有料会員は20年12月末時点で92万人と公表して以降、明らかにしていません。
アベマに立ちはだかる壁は2つある。まず米ネットフリックス、米アマゾンなどの海外勢です。多額の製作費を投じ世界市場めがけて作品をつくる海外大手と、国内の若年層向けを狙うアベマ。ターゲットは違うものの、消費者の視聴時間をテレビなどと奪い合うという点では競合です。
価格も大差はありません。アベマは月960円で有料会員を募り、ネトフリの「ベーシック」プランは990円。サイバー首脳は「競合との価格競争が激しく、有料会員価格をあげづらい」とこぼすしています
調査会社のジェムバートナーズによると、定額制動画配信サービスの国内シェアはアペマが2.4%と、ネトフリ(19.5%)やアマゾンプライムビデオ(12.6%)を下回ります。 同調査では利用者の配信サービスの平均契約数が1.7 にとどまり、動画サービスの利用者を奪い合っている構図は明らかです。
今後は国内企業との競争激化も待ち構えます。アベマの特徴のひとつが無料視聴サービス。
この無料視聴では民放の見逃し配信サービス「TVer」が伸びています。TVerは東京五輪・パラリンピックの配信で利用者数を増やしたうえ、各民放キー局の同時配信も21年度内に始めます。
アベマの9月時点のアプリダウンロード数は7300万超とTVer(8月末時点で4000万超)を上回っているものの、競争は今後さらに激しくなるでしょう。
アベマの21年9月期までの累積赤字が1000億円となるなか、サイバーエージェントも手は打っています。20年にはアプリで人気バンドの音楽ライブなどを視聴できるPPV(ペイパー・ビュー)機能を追加。
PPV機能を含む周辺事業の売り上げは前の期の約4倍になりました。
7. 今後の業績予想
サイバーエージェントの今後の業績は堅調に伸びていくと予想します。ゲーム事業は好調ですし広告事業も好調です。また苦戦しているアベマももうすぐ回収期に入るのではないでしょうか?
アベマが大きな利益を稼ぐ可能性は十分にあり、他の事業にもシナジー効果はあるでしょう。
サイバーエージェントの株価は上昇傾向ですが、もう一段上がる可能性もあるでしょう。
8. まとめ
今回は、インターネット広告最大手のサイバーエージェントについて説明しました。サイバーエージェントはかなり多角的に事業展開を行っており、今後の業績期待も十分です。
サイバーエージェントは非常にチャレンジ精神のある会社です。今後も大きく業績を伸ばす可能性は十分あります。是非今回の記事を参考にサイバーエージェントへの投資を検討してみてはいかがでしょうか?