IMAGICA GROUP(6879)
IMAGICA GROUPは、映像制作を軸に企画、放送、機器開発・販売等を展開する企業です。
現在、仮想現実や拡張現実技術を駆使し、インターネットで共有するバーチャル世界が本格的な経済圏に成長しつつあります。
中でも米Facebookによる、「メタ」への社名変更は市場に強烈なインパクトを与え、今後メタバース分野に巨額投資を行う方針との思惑もあります。
同社は仮想現実画像の作成など高度な映像技術が強みであり、またバーチャル空間の利用者の分身にあたる、アバターのアプリも手がけています。
そこで今回は、メタバースの材料も内包している、IMAGICA
GROUPを取り上げ、同社の株価や業績の将来性を詳しく分析していきます。
1. 会社概要
IMAGICA
GROUPは、1935年に映画のフィルム現像・上映用プリント事業として創業後、一貫した理念である、「人々に”驚きと感動”を与える映像コミュニケーショングループ」を目指し邁進してきました。
また、映像による新しいエンタテインメントの在り方を提案、新しい生活様式に即した映像制作改革への挑戦、医療・教育・一般産業分野などエンタテインメント分野にとらわれない映像活用など、多様な社会のニーズに応えられるよう日々企業努力を続けています。
同社の沿革は、以下のとおりです。
1935年:(株)極東現像所として京都・太秦で創業
1942年:(株)東洋現像所に商号変更
1951年:東京・五反田工場(現:(株)IMAGICAエンタテインメントメディアサービス 東京映像センター)操業開始
1986年:(株)IMAGICAに商号変更
2006年:(株)ロボットと経営統合し、(株)イマジカ・ロボット ホールディングスに商号変更(純粋持株会社化)
2011年:大阪証券取引所ジャスダックスタンダードに上場
2012年:東京証券取引所市場第二部に上場
2014年:東京証券取引所市場第一部に上場
2018年:(株)イマジカ・ロボット ホールディングスが(株)IMAGICA GROUPに商号変更
2021年: SDI Media Groupを売却
(株)IMAGICAエンタテインメントメディアサービスを設立
(株)IMAGICAエンタテインメントメディアサービスが(株)IMAGICA SDI Studioを吸収合併
2. 事業の特徴
同社は動画配信業者向け映像制作サービスにも参入しており、海外動画配信向け映像制作サービスも好調に推移しているようです。
また国内においても、テレビ CM 制作、編集加工も復調、デジタルシネマも伸びています。
最新決算である2022年3月期第2四半期決算短信(連結)の売上高は338億4,600万円。 ※2021年11月1日
各事業セグメントの売上高・内容などは以下のとおりです。
※2022年3月期第2四半期決算短信(連結)
① 映像コンテンツ事業
② 映像制作サービス事業
③ 映像システム事業
※第1四半期連結会計期間より、従来「映像制作サービス事業」に区分されていた連結子会社1社(株式 会社イマジカ・ライヴ)について「映像システム事業」に区分変更となっています。第2四半期連結累計期間の比較・分析は、変更後の区分に基づく。
① 映像コンテンツ事業
第2四半期連結累計期間については、劇場映画、ドラマ、アニメーション作品等において、受注が計画通りに進捗し売上が堅調に推移したようです。
CM制作などの広告関連についても受注の回復基調が継続しており、またオンライン配信の音楽ライブやミュージックビデオの撮影等も受注が好調に推移しています。
これらの結果、売上高は88億3,300万円(前年同四半期比22.9%増)、営業利益は1,300万円(前年同四半期は営業損失7億1,200万円)となっています。
② 映像制作サービス事業
第2四半期連結累計期間については、 国内のE2Eサービスにおいて、昨年度より連結化したPixelogic Holdings
LLCとの連携もあり、動画配信事業者へ納品する作品数が増加し、動画ファイルの圧縮・変換等のエンコード、ローカライズの受注が好調に推移したようです。
またデジタルシネマ向けのサービスも劇場再開により復調傾向にあり、加えて、劇場映画、ドラマシリーズ、アニメーション作品や大型音楽ライブ案件等のポストプロダクションにおいても受注を確保したことにより、売上も堅調に推移しています。
海外のE2Eサービスにおいて、Pixelogic Holdings LLCは、欧米での劇場映画の新作公開の遅延により、デジタルシネマ向けサービスの受注が伸び悩む一方、動画配信事業者向けのローカライズの受注を継続して確保したことにより売上は大幅に伸長したようです。
TV番組・TVCM向けのポストプロダクションサービス等においては、TV番組向けは大型イベント案件の受注が牽引し前年比で売上が増加。広告市場の復調に伴い、TVCM向けは引き続き売上が好調に推移、オンライン送稿の需要も拡大しています。
ゲーム制作・人材サービス等においては、人材派遣・紹介における企業の採用活動の厳しい状況が継続したものの、3DCG制作およびデバッグなどゲーム制作関連の受注は好調に推移いています。
映像制作サービス事業全体の売上については、連結子会社であったSDI Media
Group,Inc.の全株式を前年度末に売却したことにより減収となったようですが、前年度に実行した構造改革の効果により粗利益が改善し増益となったようです。
これらの結果、売上高は184億5,800万円(前年同四半期比9.0%減)、営業利益は2億200万円(前年同四半期は営業損失21億7,200万円)となっています。
※E2Eサービス:End to
End。映画・ドラマ・アニメーション等の映像コンテンツを制作するポストプロダクションから、それらを劇場、テレビ、インターネットを介した動画配信などあらゆるメディアで流通させるために必要なローカライズ(吹替、字幕制作)、ディストリビューション(流通)のためのメディアサービスまでをワンストップで提供するサービスの総称。
※海外のE2Eサービスの業績については、決算日が12月31日であるため、当第2四半期連結累計期間には2021年1月1日~2021年6月30日の実績を反映。
③ 映像システム事業
第2四半期連結累計期間についてハイスピードカメラは、国内での販売苦戦が続くも、アジア・欧米においての販売は回復傾向となっているようです。
放送局向け案件は、件数の減少や第3四半期以降に受注が延期するなど不調が継続した一方、CMオンライン送稿はマーケットニーズの拡大により好調な販売が継続し、映像・画像処理LSIは国内および海外の販売が好調に推移しています。
また、第1四半期連結会計期間より映像システム事業にセグメントを変更した株式会社イマジカ・ライヴにおいては、スポーツのライブ中継やアーカイブ映像の配信業務等の受注が増加し増収となったようです。
モバイル通信回線販売においては収益認識会計基準等の適用により、従来は顧客から受け取る対価の総額を収益として認識していたようですが、総額から仕入先に対する支払い額を差し引いた純額にて収益を認識する方法に変更したことにより、売上高は減少したようです。
これらの結果、売上高は73億2,100万円(前年同四半期比18.1%減)、営業利益は4億8,600万円(前年同四半期比4.1%減)となっています。
3. 会社規模
会社規模は、以下のとおりです。
・時価総額: 289億9,200万円 ※2021年11月9日終値ベース
・総資産: 645億3,300万円 ※2022年3月期第2四半期
・資本金: 33億600万円 ※2022年3月期
・売上高: 338億4,600万円 ※2022年3月期第2四半期
・従業員数: 3,480名(連結) ※2021年3月期
4. 業績
過去2年間の業績は次のとおりです。
年月 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期利益 | 1株益(円) | 1株配(円) |
---|---|---|---|---|---|---|
2019年3月 | 90,212 | 926 | 789 | -2010 | -45.6 | 5 |
2020年3月 | 94,090 | 1,351 | 416 | 664 | 15.1 | 5 |
2021年3月期(2020年4月1日~2021年3月31日)の業績は、以下のとおり。
年月 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期利益 | 1株益(円) | 1株配(円) |
---|---|---|---|---|---|---|
2021年3月 | 86,727 | -1,084 | -1,343 | 3,454 | 77.9 | 0 |
最新決算である2022年3月期第2四半期決算短信(連結)は以下のとおり。
年月 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期利益 | 1株益(円) |
---|---|---|---|---|---|
2022年3月 | 33,846 | 431 | 999 | 1,694 | 38.17 |
株価・株価指標は以下のとおりです。
・株価:648円(2021年11月9日終値)
・予想PER:14.38倍 ※2022年3月期の予想EPS45.06より算出
・実績PBR:0.96倍 ※BPS671.62(2021年3月期)
・予想配当利回り:0.77% ※2022年3月期5円予想
・年初来高値:726円(2021年11月4日)
・年初来安値:323円(2021年1月4日)
5. 財務分析
BS・PL・CS分析から、IMAGICA GROUPの現状を把握します。2021年3月期と2022年3月期第2四半期決算の数字で検討します。
① BS分析
まずは、貸借対照表(Balance Sheet)です。見るべきポイントは以下の4つ
※2022年3月期第2四半期決算
・総資産 645億3,300万円
・自己資本比率 46.2%
・有利子負債 97億9,500万円 ※十万円以下切り捨て
・利益剰余金 127億5,000万円 ※十万円以下切り捨て
総資産を確認することで、その会社の規模がわかります。
一般的には自己資本比率が40%以上あれば倒産しにくいと言われています。
同社は有利子負債が97億9,500万円ありますが、自己資本比率は46.2%と4割を超えています。
また実績PBRも0.96倍、利益剰余金は127億5,000万円とプールもしっかりあります。
財務的には、まず大きな問題はないと考えられます。
② PL分析
損益計算書(Profit and Loss Statement)は売上高・営業利益・当期純利益も確認しましょう。
今期(2022年3月期第2四半期)の売上高を、2021年度3月期第2四半期の売上高358億3,500万円と比較すると-5.6%減となっています。
③ CS分析
キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement)は、非常に重要な財務諸表です。
CSを見れば会社の現状が簡単にわかります。
※キャッシュフローの構造
・営業活動によるキャッシュフロー:営業活動で現金を生み出しているか否かがわかる
・投資活動によるキャッシュフロー:固定資産の売買・有価証券の売買などがわかる
・財務活動によるキャッシュフロー:資金調達の有無。借入金の実行・返済がわかる
<営業活動によるキャッシュ・フロー> ※2021年3月期
営業活動の結果使用した資金は、6億2,400万円(前年同期は69億7,400万円の獲得)となっています。 これは、たな卸資産の減少により資金が増加した一方、前受金の減少により資金が減少したことによるものとしています。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べて27億6,900万円(64.4%)減少し、15億2,700万円となっています。 これは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入により資金が増加した一方、連結の範囲の変更を伴う子会社株式及び有形固定資産の取得により資金が減少したことによるものとしています。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
財務活動の結果得られた資金は、16億8,400万円(前年同期は12億9,100万円の支出)となっています。
これは、長期借入金の返済により資金が減少した一方、長期借入れ及び短期借入れにより資金が増加したことによるものとしています。
現金及び現金同等物は、前期より4億7,000万円減少し68億5,600万円となっています。
6. トピック:IMAGICAの持つ価値観 4We's
①We lead
②We collaborate
③We serve
④We discover
①私たちは先駆ける
社会の変化にいち早く対応し、業界をリードする存在であり続けます。
②私たちは協働する
グローバル&ワンストップという強みを活かし、お客様に高い価値を提供します。
③私たちは貢献する
高い技術と誠実な精神を持って、どのような状況においてもお客様の要望に応え続けます。
④私たちは発見する
人の心を動かすためのカギを、そして日常の中でも仕事を深化させるための発見を探し続けます。
2022年3月期の業績予想は、以下のとおりです。
年月 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期利益 | 1株益(円) | 1株配(円) |
---|---|---|---|---|---|---|
2022年3月 | 75,000 | 1,500 | 2,000 | 2,000 | 45.06 | 5 |
7. まとめ
今回はIMAGICA GROUPを分析しました。
株価は648円(2021年11月9日現在)で時価総額も289億9,200万円(2021年11月9日現在)と値動きは軽い銘柄です。
実績PBRは0.96倍(2021年11月9日現在)、同社の予想PERは14.38倍(2021年11月9日現在)また、東証一部の情報・通信業における平均PERは52.14倍(2021年11月9日現在)です。
ファンダメンタルズでは、PBRこそ約1倍ですが、PERはまだ割安水準にあると考えられます。
また同社は、広告市場におけるコロナ影響からの回復により、CM制作の受注や劇場映画作品、ドラマ、アニメーション作品も堅調に推移し、映像コンテンツ事業が回復するなど、業績も好調なようです。
売上の前年同期比(2021年3月期第2四半期)こそ5.6%減とはなっていますが、今期2022年3月期第2四半期には営業利益(前年同期26億2,800万円の赤字)と最終利益(前年同期19億5,200万円の赤字)が黒字に浮上しています。
今後もコロナ渦の動向と影響を見定めながら、同社は1~3年間など長期的な投資が向いていると思います。
好調な業績に加え、メタバース関連としても脚光を浴び始めるのか、今後も同社の行方には要注目です。