学校給食のシダックス!シダックスの業績について徹底解説!

シダックス株式会社は、外食産業、学校給食、企業食堂の給食(コントラクト)事業を展開する持株会社です。
学校給食を全国展開しているので知っている方やお世話になった方も多いのではないでしょうか?

また、現在は撤退をしていますが、カラオケのイメージも強い会社でしょう。
またこちらも2006年限りで廃部になってしまいましたが、かつて野村克也氏が率いていたこともあり野球部のイメージを持っている方も多いと思います。 このように多くの方に知られているシダックスですが、皆さんはシダックスについて詳しくご存知でしょうか?
意外と名前は知っていても事業内容について知らない方は多いと思います。そこで今回は、シダックスの業務内容について説明します。 かなり詳しく説明しますので銘柄選定や企業研究の役に立てていただければ幸いです。

1. 会社概要

多くの方に知られているシダックスですが、業務内容について詳しく知るためにはまずはシダックスの沿革を確認していきましょう。

<沿革>

1959年:志太勤氏が創業。

1965年:東京都調布市に学校・企業食堂の給食事業を運営する「富士食品工業」(現:シダックスフードサービス)を設立。

1964年:東京オリンピック運営スタッフの食事提供共業務を受託。

1991年:売店とコンビニエンスストア事業を運営する「コンビニエンスシダックス」(現シダックスアイ)設立。

1993年:レストランとカラオケボックスを一体化したレストランカラオケ事業を主体とする「シダックス.コミュニティープラーザ」(現:シダックス・コミュニティー)を設立。

1996年:シダックス(現:シダックスフードサービス)株式を店頭登録(ジャスダック)。公式ウェブサイトを開設。
東証マザーズから東証1部に市場変更

1998年:シダックスを「シダックスフードサービス」 へ社名変更。

2000年:シダックスフードサービス、シダックス・コミュニティーの両社を、持株会社「シダックス」へ株式移転する契約を締結。

2001年:持株会社「シダックス」を設立し、その株式を店頭登録(ジャスダック)。

2003年:東急百貨店から株式会社レストランモンテローザの全株式を取得(同年10月「シダックスレストランマネジメント」へ社名変更、現:シダックスフードサービス)。

2007年:株式公開買い付け(TOB)により、大新東を連結子会社とする。

2008年:大新東が上場廃止、シダックスの完全子会社となる。

2009年:ローソンと業務提携。

2012年:カルチャークラブ運営を主体とする「シダックス・スポーツ&カルチャー」を設立。

2018年:「カラオケ館」などを運営するB&Vと資本・業務提携を締結。シダックス・コミュニティーの株式81%をB&Vへ譲渡し、シダックス・コミュニティーはグループから離脱。シダックスグループはカラオケ事業から撤退し、給食事業に集中する。

2. 事業の特徴

シダックスの主な事業は3つです。それぞれの事業内容についてみていきましょう。

フードサービス事業

大手同業他社との競争激化や原材料価格の高騰、店舗における慢性的な人員不足に加え、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化も受けて、コントラクトフードサービス部門では、オフィスやキャンパス店舗、レジャー施設で大幅に食数が落ち込むなど、経営環境は依然として厳しい状況にあります。
このような経営環境のもと、社員食堂を中心とするコントラクトフードサービス部門では、Withコロナ企画として「健康支援」をキーワードに非接触型の食事提供スタイルや在宅勤務等による食数減少に対応したローコスト運営の提案を行っています。

高齢者施設を中心とするメディカルフードサービス部門では、完全調理品を用いた郷土料理で旅行気分を味わってもらう「全国郷土料理うまいもの紀行」や有事に備えた冷凍弁当の保管など、政府が進める新しい生活様式に対応した「新しい食事の提案」をお客様が置かれている環境に合わせて積極的に行い、お客様の満足度を高める活動を進めています。

さらに、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で休業や縮小営業となり一定期間職場を失った店舗スタッフをフードサービス事業の内外で再配置し労働力のシェアを行うなど、新型コロナウイルス感染症による影響の極小化を図るべく費用の削減に取り組んできました。
また、新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中でもSDGSの企業活動が社会全体で高まっており、コントラクトフードサービス部門の運営継続店においては、SDGSをより身近に感じてもらう事を目的としたサステナブルフードを展開したことに加え、従来から取り組んでいるフェアメニューや地域(店舗)独自のイベントを継続的に実施。

メディカルフードサービス部門においては、セントラルキッチンを活用した「やわらかマザーフード」や、季節の彩り溢れる食材を重箱へ盛り付けし高級感をアップした「御膳シリーズ」の商品提供を行うなど対応しています。

さらに、既存店舗において赤字店舗の撤退や低迷している店舗の改善を進め、並行して顧客満足度アンケート調査で浮き彫りになった各個店別の課題を通常運営の中で改善活動や今後の取り組むべき施策に繋げるなど、店舗の活性化と解約防止に努めているのです。
営業開発につきましては、新規店 64店舗を獲得し事業拡大と経営効率の改善に繋がっています。
この結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は26,859百万円(前年同四半期比6.5%増)、セグメント利益は1,373百万円(前年同四半期比72.2%増)となりました。

車両運行サービス事業

民間法人においては、各法人のノンコア業務をアウトソーシングする流れが継続しており、 特に車両運行管理業務については役員送迎車や社員送迎バス等がその対象となっています。
また、地方自治体においては財政再建と地域活性化のため、新たな交通体系の整備や学校統廃合におけるスクールバス需要等のニーズが高まっています。

一方で2020年以降、アウトソーシングの流れそのものは変わらないものの、新型コロナウイルス感染症の拡大により社会経済活動が縮小し、 役員送迎事における稼働時間や日数の減少、施設休業に伴う送迎バスの運休などが発生するとともに、インバウンド需要の消減も生じております。
このような環境のもと、日々変化する状況の中での対応力が求められているため、役員車両部門においては新たな通勤手段としての車両利用を、社員送迎バス等においても「密」を避けるための増便を提案する等の新たな需要開拓に努めました。
併せて、安定収益が見込める公共法人への営業を強化し、入札案件の情報収集と獲得に注力をしています。旅客運送部門においては、インバウンド運行や国内ツアー運行から、工場や倉庫に勤務する社員送迎やスクールバスといった定期契約に基づく運行へと切り替えを進め、売上構造の安定化を図っているところです。

今期の新規獲得台数は242台、契約終了は203台となっています。 この結果、当第2四半期 連結累計期間の売上高は10,779百万円(前年同四半期比 3.5%増)、セグメント利益は946百万円(前年同四半期比 17.5%増)となりました。

社会サービス事業

政府が掲げる「地方創生」政策は新型コロナウイルス感染症の影響下においても継続しており、地方自治体においては財政再建と地域活性化のため自治体が提供するサービスを民間に委託するニーズは高まっています。
また、コンパクトタウン・スモールタウン化構想のもと、住民サービスの効率的な運用を目指した施設の統合が進められるとともに、少子高齢化による行政サービスのコストアップと人手不足が、行政サービスのアウトソーシング市場を確実に伸長させる要因となっています。
このような環境のもと、社会サービス事業においては、特に力を入れている学童保育・児童館・子育て支援受託業務において、全国の自治体から新規案件の受託により受託現場数が大きく増加するとともに、 既存事業である施設管理・図書館運営および学校給食受託業務等において、多くの自治体からの案件を受託し立上後の運営も堅調に推移をしている状況です。
新型コロナウイルス感染症の影響により一部では利用者数の減少や施設休業等もありましたが、ワクチン集団接種の会場運営等、新たな業務を獲得しました。

今期の新規獲得件数は297件、契約終了は31件となっています。この結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は18,715百万円(前年同四半期比15.9%増)、セグメント利益は886百万円(前年同四半期比10.3%減)となりました。

3. 会社規模

時価総額:230億円(2021年11月11日現在)
純資産総額:75億円(2021年3月時点)
資本金:1億円(2021年3月時点)
従業員数:9419人(2021年3月時点)

4. 業績

2022年3月期の連結業績予想は、売上高1169.57億円(前期比6.2%増)、営業利益23.27億円(同3.4倍)、経常利益21.77億円(同 2.4倍)、純利益18.03億円(同2.9倍)。
再成長戦略「Re-Growth」を実現するため、グループ横断的な目線により経営改革を実行することを企業目標に掲げ、新型コロナウイルス感染症対策を徹底し、 「安心・安全」な管理体制の強化を行ったうえでの高品質なサービス提供と、コア3事業(フードサービス事業、 車両運行サービス事業、社会サービス事業)のクロスセルの推進等による積極的な営業拡大 に取り組んでいます。

取り組み及びコロナ影響の緩和等により、2022年3月期通期の連結業績については、売上高1169億5700万円(前連結会計年度比6.2%増)、 営業利益23億2700万円(前連結会計年度比237.0%増)、経常利益21億7700万円(前連結会計年度比143.7%増)、純利益18億300万円(前連結会計年度比186.1%増)を見込んでおり、業績は大きく改善する見通しです。
このようにシダックスの業績は大きく回復する見込みですが、業績を判断するためには過去の業績もしっかり確認しなければなりません。 過去5年分の業績をまとめましたので参考にしてください。

決算期 売上高 営業益 経常益 最終益 修正1株益 1株配
2018.03 142,890 1,169 -1,387 -1,396 -35.8 15
2019.03 128,278 1,739 420 -3,284 -84.2 0
2020.03 129,585 1,102 -127 -1,123 -28.2 0
2021.03 110,148 690 893 630 15.8 0
2022.03 116,957 2,327 2,177 1,803 45.2 0

ここ数年は最終利益は赤字でしたが、ここにきて要約業績が回復しているのがわかりますね。これからの反転攻勢に期待しましょう。

5. 財務分析

株式投資や企業研究を行う上で財務分析は非常に重要です。
いくら成長が期待できる企業でも財務基盤が安定していなければ、安定的な経営はできないからです。
財務基盤は企業にとって非常に重要なものになりますのでしっかり確認するようにしましょう。
財務分析を行う方法は様々ですが、一般的には「成長性」「収益性」「安全性」の3つの側面を見るべきだといわれています。
それではシダックスの財務基盤を「成長性」「収益性」「安全性」から見てみましょう。

(1) 成長性

成長性は一般的には増収率 (売上がどれくらいのびているかを示す指標)で判断されます。 年20%以上の増収率を達成していればかなり優秀であるといわれています。
シダックスの2021年の売上高は1101億円に対し2022年の予想売上高は1169億円と6%の増益になっています。 20%には届きませんが、先ほどの決算の通り、近年は回復傾向にありますので今後に期待できる状況です。

(2) 収益性

シダックスの最終利益は2021年が6億3000万円、2022年の予想最終利益は18億円です。 今期の最終利益は大きく進捗しそうです。今後もコロナ影響が治まってくることが期待できるので大きく利益を伸ばすかもしれません。

(3) 安全性

安全性は自己資本比率が高いと良いとされています。目安は33%です。シダックスの自己資本比率は18.8%です。33%には届きませんが特に問題ある水準ではありません。有利子負債は約87億円です。こちらも売上高や利益から見てまったく問題ある水準ではないでしょう。

6. トピック:シダックス株~ストップ高

ストップ高買い気配。22年3月期第2四半期累計(21 年4-9月)の営業利益を14.82億円(前年同期実績は1.09億円)と発表しました。社員食堂を中心とするコントラクトフードサービス部門で非接触型の食事提供スタイルの提案を行ったことなどが奏功し、フードサービス事業が伸長したのが要因です。
車両運行サービス事業も順調に推移し大幅増益に寄与しました。通期予想は前期比237.0%増の23.27億円で据え置いています。進捗率は63.7%に達しました。このようにシダックスの今期の業績はかなり好調です。今後の進捗が楽しみです。

7. 今後の業績予想

今後ますます非触型の食事スタイルの提供の需要は増加することが想定されることからシダックスの業績はさらなる飛躍が望めるでしょう。
現在のシダックスの株価は過去数年対比かなり高いところにありますが、さらにもう一段階上昇することは十分考えられるのではないでしょうか?

8. まとめ

今回は、フードサービス大手のシダックスについて説明しました。 シダックスは学校給食などで一定の知名度がありますが、意外と業務内容について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか?
業績が非常に好調なこともあり現在のシダックスの株価は非常に好調です。割高であると思われるかもしれませんが、 PERは11月11日時点で12倍と決して高くありません。 今後、さらに株価が上昇界する可能性は十分にあるのです。 今回の記事がシダックスの理解を深める役に立てば幸いです。