収益力NO1のメガバンク!三井住友銀行を擁する三井住友フィナンシャルグループについて徹底解説!

3大メガバンクといえば、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、そして三井住友銀行になります。 三井住友銀行は稼ぐ力が非常に強く、現在は三菱UFJ銀行と首位の座を争っています。
銀行は斜陽産業であるといわれていますが、メガバンクについてはまだまだ根強い人気があり、この記事を読んでいる方の中にもメガバンクへの就職を希望している方はいらっしゃるでしょう。

また、株式投資の面から見ても銀行株は配当が高く、ようやく注目され始めました。
そこで今回は、三井住友銀行と親会社である三井住友フィナンシャルグループについて説明します。 かなり詳しく説明しますので、株式投資の参考や企業研究の役に立てていただければ幸いです。

1. 会社概要

三井住友フィナンシャルグループの中核会社である三井住友銀行は2001年にさくら銀行と住友銀行が合併し誕生しました。 その三井住友銀行の親会社である三井住友フィナンシャルグループは、2002年に三井住友銀行との株式交換によって設立され、現在に至ります。

三井住友フィナンシャルグループは、主要子会社は以下の通りです。

・三井住友銀行(SMBC)
・三井住友ファイナンス&リース
・SMBC信託銀行
・三井住友カード
・SMBCファイナンスサービス
・SMBCコンシューマーファイナンス
・日本総合研究所
・SMBC日興証券

三菱UFJフィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループと並ぶ、日本を代表する金融総合グループです。
それでは三井住友フィナンシャルグループの沿革を見ていきましょう。

<沿革>

2002年12月2日: 三井住友銀行(SMBC)、株式移転により、株式会社三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)を設立。

2003年:株式購入によりわかしお銀行を100%子会社とする。持株会社化実施に伴う、子会社の再編を実施。子会社4社の管理業務に関して会社分割を実施、SMFGが子会社4社を承継することにより、三井住友カードと三井住友銀リースを100%子会社に、大和証券エスエムビーシーと大和住銀投信投資顧問を直接出資会社にする。日本総研ホールディングズを吸収合併、日本総合研究所を100%子会社とする。

2006年:グループの抱えてきた公的資金を、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループに次いで完済。

2007年:子会社である三井住友銀リースが住商リースと合併、三井住友ファイナンス&リースとなり、出資比率が55%に低下。

2008年:カード事業を統括する中間持株会社である完全子会社・株式会社SMFGカード&クレジットを設立。

2009年:シティグループからの日興コーディアル証券、日興シティグループ証券の買収・シティグループとの業務提携締結で合意。

2010年:ニューヨーク証券取引所に上場(ADR)

2014年:シティバンクの日本法人であったシティバンク銀行から、個人向け事業(リテールバンク事業)を承継・買収、ソシエテジェネラル信託銀行をSMBC信託銀行に改称

2018年:グループ全体の名称を「三井住友フィナンシャルグループ」から「SMBCグループ」へ変更

2. 事業の特徴

三井住友フィナンシャルグループの主要事業は、主要子会社が行う金融業務です。それでは前期の状況について見ていきましょう。
連結業務純益は、新型コロナウイルスによるマイナス影響を受ける中、トップライン拡大に向けた資本投入や良好な市場環境に支えられて、期初の目標を大きく超過し、前年並みの水準を確保することができました。 与信関係費用は、国内外ともに減少し、収益の改善に貢献しました。
加えて、コンシューマーファイナンス事業における利息返還損失引当金の繰入など、プロアクティブな対応を行った結果、親会社株主純利益は5128億円となりました。

20年度については、期初に想定していた影響額に対し、連結業務純益、クレジットコストともに、実際の影響額は大きく下振れました。
結果として、ボトムライン収益に対する実際のコロナ影響額は▲1900億円となりますが、これがなければ、7000億円を上回り、概ね、中期経営計画の想定に近い着地だったということができます。

21年度は、特にコンシューマーファイナンスにおいて、マイナス影響が継続する見通しですが、一方で、経済活動の正常化や航空機需要の回復に伴い、非金利収入や持分法投資損益は前年比プラスを見込んでいるため、連結業務純益に対するコロナ影響額は▲700億円と、20年度から300億円改善する見込みです。
クレジットコストについても、▲1000億円と、コロナ影響の縮小を見込んでおり、21年度のボトムラインに対する影響額は、全体で▲1200億円程度と見ています。

ビジネスライン別に見ると、海外証券ビジネスは、コロナ影響がプラスに作用した一方、 本来我々が得意としている、クレジットカードやコンシューマーファイナンスが国内の消費低迷に伴って、特に上期は苦戦しました。 また、持分法投資損益は、特に航空機リース事業の落ち込みで、前年比大きくマイナスとなっています。
それでも、下期にかけては多くのビジネスが回復基調に転じた結果、リテール・ホールセール・グローバルの3事業部門の月間平均業務純益は、上期の730億円から、下期は870億円と大幅に改善しています。
クレジットコストについては、これまでも申し上げてきた通り、各国の政策効果や流動性支援が奏功し、想定比低位に推移しました。 また、約7割が特定業種に集中し、コロナ影響が大きい業種の見極めが進んだことから、フォワードルッキングな引当も実施しましたが、それを含めても、20年度実績は想定を900億円程度下回って着地しています。

今後はワクチンの普及に伴い、内外経済も回復に向かうと見ているものの、数度に亘って緊急事態宣言が発令されたことや、変異株の流行などを踏まえれば、依然不透明感を払拭することはできないため、21年度も3000億円のクレジットコストの発生を予想しています。 これは、三井住友銀行のクレジットコストの巡航速度である2000~2500億円と比べて、引続き高い水準です。 中計最終年度には巡航速度に戻せるよう、しっかりとコントロールしていくようです。

航空機リース事業は、厳しい業務環境が続いておりますが、20年度のボトムラインは、なんとか黒字を確保しています。 世界の旅客需要は20年半ばを底に、回復基調を描いており、特に、国内線は来年にも、コロナ前の水準に戻る見込みです。
このように、前期の決算は、コロナの影響がある中かなり良い結果を収めることができたようです。

3. 会社規模

時価総額:5兆2336億円(2021年11月2日)
純資産総額:11兆2336億円(2021年3月末)
資本金:2兆3421億円(2021年3月末)
従業員数:86781人(2021年3月末)

4. 業績

三井住友フィナンシャルグループの21年3月期の連結最終利益は前の期比27.1%減の5128億円でした。従来予想の4000億円を上回って着地。22年3月期は前期比17.0%増の6000億円に伸びる見通しとなりました。
同時に、今期の年間配当は前期比10円増の200円に増配する方針としました。直近3ヵ月の実績である1-3月期(4Q)の連結最終利益は前年同期比15.2%減の788億円に減りました。

今期は、株価が好調でSMBC日興証券を中心にリテール部門の収益が回復しており、法人部門であるホールセール部門も好調です。あとは稼ぎ頭である市場部門と国際部門が例年通り大きく稼いでくれれば今期の業績は大きく期待できるでしょう。
それでは、三井住友フィナンシャルグループのここ最近の決算内容について見ておきましょう。

決算期 売上高 営業益 経常益 最終益 修正1株益 1株配
2018.03 5,764,172 1,164,113 734,368 520.7 170
2019.03 5,735,312 1,135,300 726,681 520 180
2020.03 4,591,873 932,064 703,883 511.9 190
2021.03 3,902,307 711,018 512,812 374.3 190
予 2022.03 600,000 437.7 200

このようにかなり業績は安定していることがわかります。しかし、世界の巨大金融グループに比べると、だいぶ劣る内容になりますので、今後の構造改革が必要不可欠であるといえます。

5. 財務分析

株式投資や企業研究を行う上で財務分析は非常に重要です。
いくら成長が期待できる企業でも財務基盤が安定していなければ、安定的な経営はできないからです。
財務基盤は企業にとって非常に重要なものになりますのでしっかり確認するようにしましょう。
財務分析を行う方法は様々ですが、一般的には「成長性」「収益性」「安全性」の3つの側面を見るべきだといわれています。
それでは三井住友フィナンシャルグループの財務基盤を「成長性」「収益性」「安全性」から見てみましょう。

(1) 成長性

成長性は一般的には増収率 (売上がどれくらいのびているかを示す指標)で判断されます。 年20%以上の増収率を達成していればかなり優秀であるといわれています。
三井住友フィナンシャルグループの2020年の売上高は4兆5918億円に対し2021年の売上高は3兆9023億円と減益になっています。 減益になっていますが、新型コロナの影響があったので一概に悪いとはいえませんし、メガバンクの場合、貸倒引当金やマーケット環境にも左右されるので大きな問題ではないでしょう。
特に三井住友フィナンシャルグループの場合、経費率が三菱UFJフィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ対比かなり低く、稼ぐ力は群を抜いて高いので今後の反転攻勢が期待できます。

(2) 収益性

三井住友フィナンシャルグループの最終利益は2020年が7038億円、2021年が5128億円です。 新型コロナ影響で大きく業績を落としましたが、今期は貸倒引当金は想定よりかなり低いところで推移しています。リテール・ホールセールなどの部門の収益は非常に好調なので21年の決算は楽しみです。

(3) 安全性

安全性は自己資本比率が高いと良いとされていますが、銀行の場合、国内業務を行うには4%以上の自己資本比率が必要で海外業務を行う場合、8%以上の自己資本比率が必要です。
子会社の三井住友銀行の自己資本比率は18.75%と非常に高い水準を維持しています。 財務面においてはまったく問題ないといえるでしょう。

6. トピック:大規模な支店改革

三井住友フィナンシャルグループの中核会社である三井住友銀行は、現在リテール部門の大改革を行っています。 具体的には支店の数を大幅に減らしており、最盛期500支店近くあった店舗を1〜2年後には300支店までに減らすようです。 しかも、そのうちの大多数は法人業務を扱わない個人専用店舗になります。
個人専用店舗とは、要は軽量店舗のことで、ほとんど人員を必要としない店舗です。 具体的には支店長と事務担当者2〜3名、営業担当者2〜3名で営業するスタイルになります。
過去の支店は支店長、副支店長、営業課長、事務課長など様々な役職者がおり、その下に事務担当者が数十名、営業担当者も10名以上いるスタイルでした。 しかし、現在は収益環境がかなり厳しいため、余計な人員を割くことができないため、軽量店舗に移行することが決定したのです。
銀行員からするとかなり大変な改革になりますが、人件費を大幅に減らすことができるため、今後収益が改善されることが期待されます。

三井住友銀行は、三菱UFJフィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループに比べ圧倒的に経費率が低い銀行です。
効率的に運営することには非常に慣れていますので今後の動向に注目していきましょう。

7. 今後の業績予想

三井住友フィナンシャルグループの今後の業績は大きく上昇すると私は考えます。 なぜなら、三井住友フィナンシャルグループは、他のメガバンクに比べ、改革を恐れない風土があるからです。
先ほど説明した支店改革のようにその他の部門でも躊躇なく改革を行うでしょう。 スピード感もあるため、今後大きく業績が改善されることは十分期待できます。
メガバンクの株は、4%を超える配当利回りがあり、利回りが非常に高いので今のうちに仕込んでおくのも良いかもしれませんね。

8. まとめ

今回は、3大メガバンクの1つの三井住友銀行を有する三井住友フィナンシャルグループについて説明しました。

銀行は斜陽産業といわれていますが、メガバンクについてはまだまだ就職の人気も高く、今後の業績進捗も期待できます。 その中でも三井住友フィナンシャルグループは、他のグループに比べ圧倒的にスピード感があり改革をいとわない金融機関です。
先進的な取り組みも積極的に取り入れていますので今後大きく業績が進捗する可能性があります。 ぜひ今回の記事を参考に、三井住友フィナンシャルグループへの投資を検討してみてはいかがでしょうか。