創業バイオの老舗!そーせいの現在と未来について徹底解説!
そーせいは、Gタンパク質共役受容体を標的とするバイオベンチャーです。
Gタンパク質共役受容体とは、生体に存在する受容体の形式の1つになります。
Gタンパク質共役受容体には様々な種類が存在し、多くの疾患に関与しているため、市販薬の数割がGタンパク質共役受容体のうちのいずれかを標的としているといわれています。
あまり聞きなじみのないGタンパク質共役受容体ですが、多くの治療薬に関係する非常に重要なものなのです。
そーせいは、日本のGタンパク質共役受容体の第一人者といわれており創業30年を超える日本有数の創薬べンチャーになります。
そこで今回は、創薬ペンチャーの雄である、そーせいについて解説します。
かなりくわしく説明しますので、株式投資の銘柄選定や企業研究の役に立てていただければ幸いです。
1. 会社概要
バイオペンチャーの先駆け的な存在であるそーせいですが、そーせいについての理解を深めるためには、そーせいの沿革を知る必要があります。
それではそーせいの沿革をみていきましょう。
<沿革>
1990年:バイオ医薬品の研究開発と技術移転事業を目的として、株式会社そーせいを設立。
1999年:ドラッグ・リプロファイリング・プラットフォーム(DRP)プロジェクトを開始。
2004年:東京証券取引所マザーズに上場。
2006年:持株会社体制へ移行。
2010年:株式会社アクティバスファーマの完全子会社化。
2011年:ノルレボ錠0.75mg(緊急避妊薬)国内での製造販売承認を取得。
2. 事業の特徴
そーせいの事業セグメントは、医薬事業の単一セグメントです。前期のビジネスハイライトをみていきましょう。
2021年1月5日、そーせいは、ムスカリン作動薬プログラムのグローバルな研究開発権、販売権がそーせいグループに返還されることとなったことを発表しました。
本ブログラムに関する権利は、2016年4月にアラガン社が取得していましたが、2020年5月、アラガン社はアッヴィ社によって買収されています。
このグローバルでの権利を返還するという決定は、アッヴィ社のパイプラインに関するピジネス上の判断に基づくものであり、本提携プログラムに関連したいかなる有効性、安全性、またはその他のデータに基づき行われたものではありません。
このような背景から、アッヴィ社は、本提携プログラムの下で開発中のすべての候補薬、そーせいグループからアラガン社に許諾した関連するすべての知的財産、及び提携において収集したすべての臨床・前臨床データの権利を、当社グループに返還すると通知しました。
当社グループは、本プログラムのさらなる開発と再提携に向けた戦略決定のため、徹底的な検討を行っています。
2021年1月12日、当社グループは、英国の創薬企業であるPharm Enable Limited (以下、
「PharmEnable社」)と、両社のテクノロジーを応用し、神経疾患でこれまで創薬困難だったGPCRに対する、新薬創出を目的とした技術提携契約を締結したことを発表しました。
本提携により、GPCRの完全な構造解析を可能にし、詳細な構造的知見を見いだせる能力及び技術的な扱いやすさで定評のある当社グループのGPCR構造ペース創薬プラットフォームと、人工知能(AI)医薬品化学に基づくPharmEnable社独自の先進テクノロジー(ChemUniverse及び
ChemSeek)を融合することができます。
これにより、非常に特異性の高い新規リード化合物を特定し、さらなる開発を進めることが可能となります。
PharmEnable社のアプローチとの融合により、従来のスクリーニング方法と比較してより特異性が高い三次元(3D)構造の医薬品候補化合物を見出すことができ、これまでのアプローチでは創薬困難だったペプチド作動性GPCRなどをターゲットとすることが可能になります。
ペプチド作動性GPCRの天然アゴニストリガンドは大きく複雑なペプチドであり、特に神経疾患の治療薬開発に適した特性を持つ低分子で阻害することは、多くの場合これまで非常に困難でした。
本契約に基づき、両社は創薬および開発ブログラムの実施と費用負担を共同で行い、その結果得られる全ての製品を共同所有します。
2021年2月1日、そーせいグループは、イオンチャネルを専門とするCROおよび創薬企業である英国のMetrionBiosciencesLimited
(以下、「Metrion
社」)と、当社グループの世界有数のSBDD技術とプラットフォームを、イオンチャネルに初めて応用するための新規技術提携契約を締結したことを発表しました。
本提携は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)に対する創薬と同じく、イオンチャネルに対する創薬にもそーせいグループのSBDD技術が応用できる可能性を示し、この分野でのリーダーとしての地位を確立することを目的としています。
最初のステップとして、当社グループMetrion社はそれぞれの専門的知見を組み合わせ、神経疾患に関連する一つのイオンチャネルに対し、新規かつ特異性の高いリード化合物の特定を目指します。
Metrion社は、選定されたイオンチャネルの知的財産、 ノウハウ、およびスクリーニングモデルを提供します。
そーせいグループは、選定されたイオンチャネルに対して特定されたすべての分子に対して、独占的なグローバルでの権利を有します。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上収益8,842百万円 (前連結会計年度比884百万円減少)、営業利益928百万円(前連結会計年度比544百万円増加)、税引前当期利益1,622百万円(前連結会計年度比1,088百万円増加)、 当期利益1,479 百万円(前連結会計年度比47百万円増加) となりました。
3. 会社規模
時価総額:1819億円(11月26日現在)
純資産総額:523億円(2020年 12月時点)
資本金:402億円(2020年12月時点)
従業員数:188人(2021年6月時点)
4. 業績
そーせいは、2021年12月期通期の連結業績予想は公表していません。
創楽ビジネスに引き続き注力、創出した有望な新薬候補物質を資本効率良く早期に進展させるため提携および共同投資による活動の拡大を図ります。
また新たなテクノロジー、ツールおよび能力強化のためを投資を行う方針。研究開発費に係る現金支出は40億円~50億円、一般管理費に係る
現金支出は 18億円~23億円を見込んでいます。
このように現在そーせいは今期の業績の発表をしていませんが、積極的な投資を行うことから今後の業績も期待できそうです。
それでは、そーせいのここ数年の決算を見ていきましょう。
決算期 | 売上高 | 営業益 | 経常益 | 最終益 | 修正1株益 | 1株配 |
---|---|---|---|---|---|---|
2018.03 | 6,955 | -2,291 | -3,702 | -2,654 | -37.5 | 0 |
2018.12 | 2,872 | -5,734 | -7,243 | -5,977 | -78.4 | 0 |
2019.12 | 9,726 | 384 | 534 | 1,432 | 18.7 | 0 |
2020.12 | 8,842 | 928 | 1,622 | 1,479 | 18.8 | 0 |
2021.12 | - | - | - | - | - | 0 |
今期の予想はまだ発表されていませんが、19年、20年とかなり業績を伸ばしているのがわかります。 今期も後ほど紹介しますが、大きなプラス材料があるので期待できそうです。業績を伸ばしていることがわかりますね。今後も期待できそうです。
5. 財務分析
株式投資や企業研究を行う上で財務分析は非常に重要です。
いくら成長が期待できる企業でも財務基盤が安定していなければ、安定的な経営はできないからです。
財務基盤は企業にとって非常に重要なものになりますのでしっかり確認するようにしましょう。
財務分析を行う方法は様々ですが、一般的には「成長性」「収益性」「安全性」の3つの側面を見るべきだといわれています。
それではそーせいの財務基盤を「成長性」「収益性」「安全性」から見てみましょう。
(1) 成長性
成長性は一般的には増収率 (売上がどれくらいのびているかを示す指標)で判断されます。
年20%以上の増収率を達成していればかなり優秀であるといわれています。
そーせいの2019年の売上高は97億円に対し2020年の売上高は88億円と減益になっています。
しかし、2018年の売上高は28億円だったので、ここ2年大きく売上高を伸ばしている状況なのです。
(2) 収益性
そーせいの最終利益は2019年が14億3200万円、2020年の最終利益は14億7900万円です。 こちらも2018年は、赤字だったので大きく改善しています。
(3) 安全性
安全性は自己資本比率が高いと良いとされています。安全性が高いとされている目安は33%です。そーせいの自己資本比率は68.5%になります。健全性の高い会社といえます。
6. トピック:そーせい、精神薬開発で米社と提携 一時金1億ドル受領
そーせいグループは11月22日、米バイオ医薬のニューロクラインバイオサイエンシズと統合失調症などの精神疾患の治療薬開発で提携したと発表しました。
そーせいは契約時金収入1億ドル(約110億円)を受領します。
また、開発や販売の進捗に応じて最大26億ドルを受け取ります。精神病分野に強みをもった米社と組み、実用化を目指すとのことです。
そーせいは統合失調症向けなど複数の新薬候補について、研究開発と商業化の権利をニューロクラインに供与します。 この対価として一時金1億ドルを受け取るほか、開発の進捗状況に応じて最大15億ドル、販売後に特定の条件を満たした場合最、大11億ドルをそれぞれ受け取る権利も有します。 売上高に応じたロイヤルティー収入を受領する権利も得ました。
ライセンス供与する治療薬候補のうち、初期段階の臨床試験(治験)を実施済みの統合失調症向けでは、2022年にニューロクラインが第2段階の治験に入る計画です。
また、一部の新薬候補については、共同で開発を続けていくといいます。一時金収入は21年10~12月期に収益として計上される見通しです。
ニューロクラインは米カリフォルニア州に本社を置くバイオ企業。体が動かしにくくなる
「パーキンソン病」などの治療薬を実用化しています。 20年12月期の連結売上高は 10億4590万ドル。
7. 今後の業績予想
そーせいの今後の業績は大きく期待できそうです。ニューロクラインとの提携は非常にインパクトが大きく、公表後、初の取引になった11月24 日の株価は約23%上昇しました。 今後、ニューロクラインとの契約をうまく履行できれば、そーせいは、大きな利益を手にす ることができます。 バイオベンチャーの雄であるそーせいに投資をするのであれば、今のタイミングが良いかもしれませんね。
8. まとめ
今回は、バイオベンチャーの雄であるそーせいについて説明しました。
そーせいはバイオベンチャーの雄であるだけあって様々な技術をもっています。著名なアメリカのバイオ企業であるニューロクラインとの提携など様々な明るいニュースがあります。 ぜひ今回の記事を参考にそーせいへの投資を検討してみてはいかがでしょうか?