データ解析企業のフロンテオとは?フロンテオの現状や将来性について徹底解説!

フロンテオとは英語でFRONTEOと書き「Frontier Technology Organization」の略になります。日本語にすると、「進歩的かつ先端的な価値創造集団」という意味です。

FRONTEOは、自然言語処理に特化したデータ解析企業で、独自に開発した人工知能(AI)エンジン「KIBIT®(キビット)」と「conceptencoder®(コンセプトエンコーダー)」を用いて、情報解析を支援しています。
2003年に創業して以来、国際訴訟で必要な、証拠となる電子データの保全と調査・分析を行う「eディスカバリ(電子証拠開示)」や、「デジタルフォレンジック調査」というリーガルテック事業をメインに展開してきました。
また、リーガルテック事業で培ったAI技術をもとに、2014年より金融、知財、人事、医療分野へと事業のフィールドを拡大し、膨大な量のテキストデータの中から意味のある重要なデータを検出することで、業務負担を軽減し、業務の効率化を実現しています。
このようにまさに「今」の時代に合った企業がフロンテオなのです。しかし、フロンテオはまだまだ知名度が高い会社とはいえません。

そこで今回は、フロンテオについて紹介します。かなり詳しく紹介しますので、株価分析や企業研究の役に立てていただければ幸いです。

1. 会社概要

情報解析技術に定評のあるフロンテオですが、フロンテオについて理解するためには、フロンテオの沿革について知ることが重要です。

<沿革>

2003年:「データ解析技術の未熟さにより、訴訟に必要な情報が見つからず窮地に立たされる企業を守りたい」という信念のもと、東京都港区赤坂に、米国製フォレンジックツールの輸入販売を事業目的とした株式会社Universal Business Incubatorsを、資本金1,000千円で設立

2005年:コンピュータフォレンジックサービス「コンピュータフォレンジック調査サービス・ディスカバリー(証拠開示)支援サービス」の提供開始

2007年:東京証券取引所マザーズへ上場

2009年:情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際標準規格である「ISO27001」(ISO/IEC27001:2005)ならびに国内規格である「JIS Q 27001」(JIS Q 27001:2006)の認証取得

2014年:米国のeディスカバリ事業会社TechLaw Solutions, Inc.を買収、連結子会社化

2015年:同社を存続会社として、株式会社UBICリスクコンサルティングを吸収合併独自開発した、自然言語処理をベースとする人工知能「KIBIT」を発表

2016年:商号を「進歩的かつ先端的な価値創造集団」を意味する株式会社FRONTEOに変更

2. 事業の特徴

フロンテオの事業セグメントは3つです。

・ライフサイエンスAI事業
・ビジネスインテリジェンス事業
・リーガルテックAI事業

それぞれの特徴についてわかりやすく説明します。

ライフサイエンスAI事業

ライフサイエンスAI分野では、Medical Device(メディカルデバイス)領域において、開発中の言語系AI医療機器「会話型認知症診断支援AIプログラム」について2021年3月12日に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に治験届を提出したことを発表しました。
本発表は臨床試験開始に向けた重要な過程を通過したことを表しており、当該プログラムは世界初となる言語系AI医療機器としての承認申請に向けて大きく前進しています。
さらに、近年の薬剤、医療機器の高度化や新型コロナウイルスの影響などにより、臨床試験の延期や長期化も生じている中で、フロンテオは2021年4月26日に臨床試験において初の症例組み入れが行われたこと(臨床試験の開始)を発表しました。

Medical Intelligence(メディカルインテリジェンス)領域では、論文探索AIシステム「Amanogawa(アマノガワ)」の普及が、製薬企業に加えアカデミアにおいても進み、2021年3月までに東京大学、徳島大学、東京女子医科大学等、複数の大学で導入されました。
また、2021年3月29日に株式会社MOLCUREと創薬DXの推進を目的として業務提携を発表しています。

今後もAIを活用し、創薬研究の高度化と生産性向上を支援していくようです。さらに事業化を加速させるため、医療AIアライアンスの強化を進めています。
診断支援の分野における医療AIソフトウェア開発について、2021年3月16日に画像解析AIを強みとするエルピクセル株式会社と共同研究の開始を発表し、2021年3月31日には音声認識AIに強みを持つ株式会社アドバンスト・メディアと共同研究の開始を発表しました。 言語系AI技術を中核に、画像、音声など医療分野に特化した複数のAIテクノロジーを組み合わせることで、高度な次世代AI解析技術の開発を目指しています。


ビジネスインテリジェンス事業

ビジネスインテリジェンス分野では、企業のDXが加速していることを背景に、不正の早期検知のためのオンラインコミュニケーション監査システムや、顧客との営業応接記録を法令や社内規定に基づいて解析するコンプライアンスチェックソリューションを拡販した結果、特に金融分野においてこれらAI製品の導入が進み、当第4四半期連結会計期間では複数の大型案件を獲得しました。

金融分野ではアーリーアダプター層 (新商品やサービスを早期に受け入れ、オピニオンリーダーやインフルエンサーとなって市場普及に大きく影響を与えるユーザー層)も多く、企業の複数の部門において当社の各種AI製品の実装が進んいます。

他の分野では、製造業の工場で蓄積した熟練技術者の知見を組織知として蓄積・伝承するシステム「匠KIBIT」や、建設業において建設現場の危険予知活動をAIで支援する製品を開発し、より幅広い分野に当社AI製品を提供するべく営業活動を始めています。


リーガルテックAI事業

リーガルテックAI事業は、現在、売上構成比を従来型ビジネスを主体としたものから、AIレビューツール「KIBIT Automator」を活用した案件を主体としたものへ転換するポートフォリオトランスフォーメーションの過渡期にあります。
当連結会計年度においては、大手顧客中心に「KIBIT Automator」を活用した案件の受注を着実に積み上げることができました。

3. 会社規模

時価総額:929億円(2021年12月2日時点)
純資産総額:46億円(2021年3月時点)
資本金:29億円(2021年3月時点)
従業員数:176人(2021年3月時点)

4. 業績

【経済安全保障分野のAIソリューションを順次提供】
22/3期通期の連結業績計画を上方修正。売上高は108億円→112億円(前期は104億円)、営業利益は12億円→18億円(同5.1億円)を見込みます。

修正計画には、上期実績の反映、AIソリューション事業の下期成長見通しとともに、成長のための費用増加を織り込みました。
AIソリューション事業の経済安全保障分野では、 第3のAIエンジン「LooCACross(ルーカクロス)」を開発。 新エンジン搭載のソリューションとして、10月5日にサプライチェーンネットワーク解析AI、11月4日に株主支配ネットワーク解析AIの提供を開始しました。今後、最先端技術解析重要人物ネットワーク解析AI、経済安全保障グローバル法規制予測AIの提供を予定しています。
このように今期のフロンテオの業績は好調ですが過去の決算についても見てみましょう。

決算期 売上高 営業益 経常益 最終益 修正1株益 1株配
2018.03 12,217 177 -16 -828 -21.8 0
2019.03 11,262 244 203 52 1.4 3
2020.03 10,470 -844 -992 -929 -24.4 0
2021.03 10,370 507 330 359 9.3 0
2022.03 11,200 1,800 1,700 1,100 28 7

このようにフロンテオの業績は非常に堅調であるといえるでしょう。

5. 財務分析

株式投資や企業研究を行う上で財務分析は非常に重要です。
いくら成長が期待できる企業でも財務基盤が安定していなければ、安定的な経営はできないからです。
財務基盤は企業にとって非常に重要なものになりますのでしっかり確認するようにしましょう。
財務分析を行う方法は様々ですが、一般的には「成長性」「収益性」「安全性」の3つの側面を見るべきだといわれています。
それではフロンテオの財務基盤を「成長性」「収益性」「安全性」から見てみましょう。

(1) 成長性

成長性は一般的には増収率(売上がどれくらいのびているかを示す指標)で判断されます。 年20%以上の増収率を達成していればかなり優秀であるといわれています。
フロンテオの2021年の売上高は103億円に対し2022年の予想売上高は112億円と8%の増益になっています。 20%の増益にはなりませんでしたが、過去の決算をみても非常に安定していることが分かりますね。

(2) 収益性

フロンテオの最終利益は2021年が3億5900万円、2022年の予想最終利益は11億7円です。 最終利益については大きく増加していることが分かります。

(3) 安全性

安全性は自己資本比率が高いと良いとされています。安全性が高いとされている目安は33%です。フロンテオの自己資本比率は37.5%になります。健全性の高い会社といえます、

6. トピック:今後の業績に期待大

東芝の2020年の定時株主総会を巡る疑惑の調査で株式市場の注目を集めた企業があります。国内で「デジタルフォレンジック(電子鑑識)」の草分けとして知られるデータ解析のフロンテオです。
電子鑑識で培った人工知能(AI)のノウハウを生かし、認知症診断を支援する医療機器の開発にも乗り出しました。
医療分野を収益の柱に育てるためには販売網の確立などが求められそうです。「市場が求める企業倫理に反するものと評価せざるを得ない」。東芝が11月12日に公表した、20年の株主総会を巡る疑惑の再調査結果。これに先立ち、株主総会が「公正に運営されたものとはいえない」と指摘した今年6月の報告書で、重要な役割を果たしたのがフロンテオなのです。
調査対象となった東芝関係者7人の約78万件に及ぶ電子メールや添付ファイルを扱いました。AIが文章の内容に応じて重要度を判定し、優先順位の高い資料は弁護士が、低いものはフロンテオの担当者が読み込んだのです。結果、調査作業の効率化につながったといいます。

2003年設立のフロンテオは不正調査や訴訟時の必要資料を探す電子証拠開示支援を得意としています。対象は情報漏洩や横領、談合など幅広く、 これまでに企業の法務部門などから約1万件の案件を受注しました。
不正調査と証拠開示支援は連結売上高の約8割を稼ぐ主力事業です。近年はメールなどの情報量が急増しているため、19年に自社開発のAIエンジンを活用した電子鑑識を始めました。
調査速度は最大で従来の約10倍に高まり、「より規模の大きな調査を受託できるよょうになった」(守本正宏社長)。

フロンテオは業績も拡大しています。15日には22年3月期の業績予想を上方修正し、売上高で前期比8%増の112億円、純利益で3倍の11億円を見込みます。
電子鑑識で大型案件が相次ぐうえ、AIの活用で利益率も改善する見通しです。翌11月16日の株価は制限値幅の上限(ストップ高)まで上昇し、株式分割考慮後の上場来高値を更新しました。 20年末比では約5.6倍の水準で、同じ東証マザーズのAI関連銘柄でPKSHA Technology(パークシャテクノロジー)は同6%安、ニューラルポケットは61%安のなかで上昇は突出しています。

フロンテオの目標は高い。達成時期を明示していませんが、 売上高は今期見通しの2.7倍となる300億円を目指しています。 内訳は電子鑑識と企業の業務効率化、 医療の3分野で100億円ずつです。電子鑑識でのAI活用が浸透してきたなか、安定的な需要を見込める医療分野の開拓を急ぎます。
すでに創薬支援システムを実用化し、武田薬品工業などが導入しました。今春には認知症診断支援システムの臨床試験(治験)を開始。 患者と医師の会話を文字に起こし、内容を基に認知症の可能性をAIが判定する仕組みで、医療機器として23年の承認を目指します。
ただ、医療現場の AI活用といえば画像解析が中心で、フロンテオのような言語分析の診断支援システムは珍しい。「確立された分野でない」(守本社長)だけに、機器の有用性など を地道に説明する取り組みが求められそうです。
仮に承認を得た場合は販売網を構築する必要があります。製薬大手ノバルティスファーマで会長を務めた鳥居正男氏を医療関連の戦略顧問に招くなどネットワーク整備に手は打ち始めています。

「医療関連企業との資本業務提携など、バートナーとの連携も重要だ」(国内運用会社) との指摘もあります。
フロンテオの現金及び預金は9月末時点で26億円と、一定規模のM&Aには物足りない。 株高を生かした公募増資で資金を調達し、 有望な買収候補を探すのも有効な選択肢かもれません。

7. 今後の業績予想

フロンテオの今後の業績は期待大です。市場はフロンテオの技術に注目しており、今後、多くの大企業がフロンテオの技術の助けを借りる可能性があります。 去年から大きく株価が伸びているので買いにくいと思われている方もいるかもしれませんが、まだまだ株価が伸びる可能性は高そうです。

8. まとめ

今回はデータ解析企業のフロンテオを紹介しました。

フロンテオの技術にようやく注目が集まり始め、今後大きく株価が上昇する可能性があります。 是非今回の記事を参考にしていただき、フロンテオへの投資を検討してみてはいかがでしょうか?