SBIに買収された新生銀行ってどんな会社?新生銀行について徹底解説!

新生銀行は2000年に戦後を支えた名門銀行である日本長期信用銀行から行名を変えて誕生した銀行です。
前身が日本長期信用銀行ということもあり、大きな期待をもって誕生した銀行になります。 インターネットバンクに積極的に取り組んだり、革新的な店舗など様々な特徴がある銀行ではありますが、いまだに公的資金を返済していない銀行でもあります。 また、最近では SBI ホールディングスから買収を仕掛けられており、何かと話題の銀行です。
しかし、新生銀行について聞いたことがある人でも、新生銀行について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか? そこで、今回は新生銀行について説明します。
わかりやすく説明しますので是非、銘柄選定や企業研究の役に立ててください。

1. 会社概要

新生銀行は、超名門銀行である日本長期信用銀行が前身で2000年に誕生した比較的新しい銀行です。まずは新生銀行の沿革を見ていきましょう。


2000年:日本長期信用銀行から新生銀行へ商号変更。

2001年:各支店を個人顧客の取引拠点「新生フィナンシャルセンター」へ改装し、アカウ ント型の新型ロ座「PowerFlex (パワーフレックス)」取り扱い開始。

2004年:東京証券取引所第一部へ上場(法人格上は長銀以来の再上場)長期信用銀行から普通銀行へ転換。

2007年:収益実績が目標を大きく下回ったため、金融庁が「金融機能の早期健全化のため の緊急措置に関する法律」と銀行法に基づく業務改善命令。

2011年:新生フィナンシャルの消費者金融「レイク」の商標と営業部門を譲り受け、新生 銀行カードローン レイクとして取扱開始。

2018年:新生銀行で兼業・副業を解禁

2019年:中期経営戦略「金融リ デザイン」 (2019年度~2021年度)を策定

2021年:マネックス証券との包括提携を発表
SBIホールディングスが新生銀行に対してTOBを実施
SBIホールディングスがTOBで27.28%を取得。保有比率で47.77%に引き上げたことを発表

2. 事業の特徴

新生銀行の事業セグメントは主に4つです。

・法人業務
・個人業務
・コンシューマーファイナンス
・経営勘定/その他

セグメント別では、「法人業務」 は、前連結会計年度に計上した保有株式の売却益がなくなったことに加えて、 デリバティブ関連収益の減少、さらにブリンシバルトランザクションズにおいて連結子会社が保有するLimitedPartnershipに対する出資持分に係る損失が発生したこと等により、セグメント利益は前連結会計年度に比べて減少しました。

「個人業務」について、まずリテールバンキングは、資産運用商品の販売関連収益が減少したことや、子会社買収に伴う経費の増加等により、セグメント損益は前連結会計年度に比べて減少しました。

次にコンシューマーファイナンスは、アプラスフィナンシャルのショッピングクレジットの取り扱いが増加したものの、レイク事業の利息収入が減少したこと等により、業務粗利益は前連結会計年度に比べて減少しました。

与信関連費用は、個人向け無担保カードローン業務における貸出債権の残高減少や質の良化を主因に減少しました。
その結果、セグメント利益は前連結会計年度に比べて増加しました。
「経営勘定/その他」のセグメント損益は、前連結会計年度に比べて減少しました。

3. 会社規模

時価総額:517億円(2021年3月時点)
純資産総額:9307億円(2021年3月時点)
資本金:5122億円(2021年3月時点)
従業員数:5711人(2021年3月時点)

4. 業績

【通期純利益で11%減の400億円の計画は据え置き】 22/3期上期の連結純利益は232億円と前年同期比74%増加。コロナ禍長期化(消費停滞)を受けコンシューマーファイナンス業務の無担保カードローンの残高は減少しましたが、連結子会社化したニュージーランドの最大手ノンバンクUDC Financeの収益貢献もあり、資金利益は同微減に。
リース・割賦収益や手数料などの非資金利益は伸び、トップライン収益の業務粗利益は同微増となりました。
経費は増加し、本業収益動向を示す実質業務純益は334億円と同11%減少。ただ、法人業務での戻入と無担保ローン関連の費用低下を主因に与信関連費用が減少し増益となりました。

22/3期の連結純利益を前期比11%減の400億円と見込んだ計画を据え置きました。上期連結純利益の計画比進捗率は58%。22/3期の配当計画は未定。20百万株・200億円を上限とする自己株取得枠を設定しましたがSBIのTOBを踏まえ中断しました(21年9月22日までに100億円相当を取得済み)。

新生銀行の2018年からの決算内容です。

(単位:百万円)
決算期 売上高 営業益 経常益 最終益 修正1株益 1株配
2018.03 383,869 56,811 51,414 199 10
2019.03 372,243 55,397 52,319 211.2 10
2020.03 399,503 51,036 45,575 190.6 10
2021.03 374,247 44,398 45,109 202.2 12
予 2022.03 40,000 191.7

新生銀行のポテンシャルからすると売上高・収益ともにまだまだといわざるを得ません。SBIに買収され大きく変わるか楽しみです。

5. 財務分析

株式投資や企業研究を行う上で財務分析は非常に重要です。
いくら成長が期待できる企業でも財務基盤が安定していなければ、安定的な経営はできないからです。
財務基盤は企業にとって非常に重要なものになりますのでしっかり確認するようにしましょう。
財務分析を行う方法は様々ですが、一般的には「成長性」「収益性」「安全性」の3つの側面を見るべきだといわれています。
それでは新生銀行の財務基盤を「成長性」「収益性」「安全性」から見てみましょう。

(1) 成長性

成長性は一般的には増収率 (売上がどれくらいのびているかを示す指標)で判断されます。 年20%以上の増収率を達成していればかなり優秀であるといわれています。
三井住友フィナンシャルグループの2020年の売上高は3995億円に対し2021年の売上高は3742億円と減収になっています。 三井住友銀行などのメガバンクの売上高は、優に一兆円を超えているのでまだまだといえるでしょう。

(2) 収益性

新生銀行の最終利益は2020年が455億円、2021年が451億円です。 新型コロナ影響で若干業績を落としましたが、今期は貸倒引当金は想定よりかなり低いところで推移しています。SBIがどのように立て直すか楽しみです。

(3) 安全性

安全性は自己資本比率が高いと良いとされていますが、銀行の場合、国内業務を行うには4%以上の自己資本比率が必要で海外業務を行う場合、8%以上の自己資本比率が必要です。 新生銀行単独の自己資本比率は13.52%と非常に高い水準を維持しています。 財務面においては問題ないといえるでしょう。

6. トピック:新生銀がSBIHDの連結子会社に

SBIホールディングスは12月11日、新生銀行に対するTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表。新生銀株の保有比率は47.8%になり、17日付で新生銀を連結子会社にします。
SBIは銀行持ち株会社化も視野に新生銀の企業価値の向上を目指します。 新生銀が抱える約3500億円の公的資金の返済が焦点になります。

新生銀に約20%出資するSBIは9月10日、保有比率を最大48%に高めるため1株2000円でTOBを始めました。期限の12月10日までに買い付け予定の上限(5821万1300株) に近い5692万2199株の応募がありました。
これによりTOBでの取得額は1138億円になります。動向が注目された旧村上ファンド系の投資会社、シティインデックスイレブンス(東京・渋谷)もTOBに応募したもよう。

TOBの成立によりSBIは新生銀の経営への関与を深めます。新生銀が2022年2月初旬にも開く臨時株主総会で、SBIが推薦する会長候補の五味広文・元金融庁長官、社長候補の川島克哉SBI副社長らを取締役に選任します。現社長の工藤英之氏は退任する見通しです。
SBIは新生銀をグループの中核銀行に位置付け、金融事業の基盤を強化。子会社のSBI地銀ホールディングスを通じ、年内にも過半取得に向け銀行持ち株会社の認可申請を準備します。

銀行持ち株会社になると業務範囲に制限がかかります。金融庁との協議で医薬品開発など非金融事業を売却しないで済む組織体制を検討。
最大の課題は新生銀に残る約3500億円の公的資金の返済です。新生銀の普通株1株当たりに割り戻すと7450円で、返済には株価を現在の4倍近くにまで引き上げる必要があります。SBIは新生銀の純利益を25年3月期に710億円と、21年3月期比1.6倍に拡大させる計画。

SBIが出資している地方銀行の業績は向上した一方、株価はさえない動きが続く。地銀連合の中核に位置付ける新生銀の企業価値向上や公的資金返済には難路が待ち受けます。 しかし、旧態依然とした金融業界に新しい風を入れ続けたSBIです。どのような舵取りをするか注目です。

7. 今後の業績予想

新生銀行の今後の業績は期待できそうです。 SBIホールディングスの子会社になったことで、様々なスケールメリットを受けらえれますし、SBI ホールディングスの中核銀行としての役割が期待されます。
インターネット金融大手のSBIの力を存分に生かすことができるでしょう。今後の展開が大いに期待されます。

8. まとめ

今回は、新生銀行について説明しました。新生銀行は店舗数こそ多くはありませんが、日本長期信用銀行を母体とする名門銀行です。

新生銀行になってからは業績面などで苦労しましたが、インターネット金融の雄であるSBI ホールディングスの子会社になったことで今後の業績回復に大きく期待できます。
現在の株価はまだまだ低水準の所にあるので是非今回の記事を参考に新生銀行への投資を検討してみてはいかがでしょうか?