何でも屋の「ソニーグループ」ってどんな会社?

ソニーは、エレキ、エンタメ、金融コングロマリットの総合力の会社で、大抵の方は、一度はソニーの製品を使ったことがあるのではないでしょうか?
ソニーが東京通信工業からソニーに社名変更をした際、メインバンクからは「『ソニー株式会社」では何の会社かわからない、せめて『ソニー電子』などにしないか」と言われ、創業者の一人である盛田昭夫氏は、「ソニーが将来、エレクトロニクスの会社であるとは限らない。現在の経営者が将来のソニーの可能性を狭めることはしたくない」と述べたことは有名です。 まさに、ソニーは「何をするのかわからない会社」であり、そこが大きな魅力の会社でもあります。
そこで今回は、ソニーについて説明します。わかりやすく説明しますので、株式投資や企業研究の参考にしてください。

1. 会社概要

まずは、ソニーグループの沿革を見ていきましょう。(ソニーグループは2021年に称号を変更したため、こちらではソニーについて見ていきます。)


<沿革>

1946年 :井深氏、盛田氏らがソニーの前身となる東京通信工業株式会社を設立。

1950年 :日本で初めてテープレコーダーを製作、販売。

1955年 :トランジスタラジオの製造販売を開始。このとき、ロゴに『SONY』を採用しアメリカ合衆国などにも輸出し始めた。Sonyとは音を意味する英語のSonic、ラテン語のSon(us)と男子の子供の英語の「坊や」を意味するSonnyからつけられた。

1958年:ソニー株式会社へ商号変更、同年12月1日東京証券取引所に上場。

1960年:世界最初のトランジスタテレビを発売。

1970年:日本企業としては初めてニューヨーク証券取引所に上場。

1979年:ソニー・プルデンシャル生命保険(現・ソニー生命保険)を設立。

1989年:コロンビア・ピクチャーズ・エンタテインメント(現・ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)を買収。

2000年:ソニー・ミュージックエンタテインメント、ソニーケミカル、ソニー・プレシジョン・テクノロジーを完全子会社化。

2001年:三井住友銀行と合弁でソニー銀行設立。 携帯電話端末事業のためエリクソンと合弁でソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズを設立。

2005年:出井伸之会長兼CEOらトップ3人が退任、当社初となる外国人トップのハワード・ストリンガー会長兼CEOが誕生。

2006年:PlayStation Network稼働。

2014年:2014年3月期の連結最終損益(米国会計基準)が約1100億円の最終赤字となり、主力2事業の大規模な再編を発表。

2016年:ソニーグループのLGBT推進における取り組み指標『PRIDE指標』で最高スコアの“ゴールド”に認定。

2020年:エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野を構成する3事業を統括する中間持株会社として、ソニーエレクトロニクスを設立。 7月27日に電気自動車(EV)の試作車「VISION-S」を公開。

2021年:ソニー本体およびエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション事業において、以下の企業組織再編を実施。ソニー株式会社(初代法人)がソニーグループ株式会社に商号を変更し、純粋持株会社に移行。

2. 事業の特徴

ソニーグループの事業セグメントをまとめました。

ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野

【2020年度の業績】
売上高は、前年度比6787億円(34%)増加し、2兆6563億円となりました(前年度の為替レートを適用した場合、35%の増収)。
この大幅な増収は、主にアドオンコンテンツを含むゲームソフトウェア販売の増加及びプレイステーション®5(以下「PS5™」)発売にともなうハードウェア売上の増加によるものです。

営業利益は、前年度比1038億円増加し、3422億円となりました。この大幅な増益は、PS5™ハードウェアの製造コストを下回る戦略的な価格設定による損失、ならびにPS5™発売にかかる販売費及び一般管理費の増加などがあったものの、主に前述のゲームソフトウェアの増収、及びプレイステーション®プラスを中心としたネットワークサービスの増収によるものです。 なお、当年度の為替の好影響は153億円でした。

音楽分野

音楽分野の業績には、日本の㈱ソニー・ミュージックエンタテインメントの円ベースでの業績、ならびにその他全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、Sony Music Entertainment(以下「SME」)及びSony Music Publishing LLC(以下「SMP」)の円換算後の業績が含まれています。

【2020年度の業績】
売上高は、前年度比900億円(11%)増加し、9399億円となりました(前年度の為替レートを適用した場合、12%の増収)。
この大幅な増収は、音楽制作及び映像メディア・プラットフォームの売上が増加したことなどによるものです。

音楽制作は、主にストリーミングサービスからの収入の増加により、増収となりました。映像メディア・プラットフォームは、主に『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の貢献などによるアニメ事業の売上増加及びモバイル向けゲームアプリケーションの収入の増加により、増収となりました。

営業利益は、前年度比457億円増加し、1881億円となりました。この大幅な増益は、前述の増収の影響に加え、Pledis株式の一部譲渡にともなう売却益65億円の計上及び海外での事業譲渡にともなう利益54億円の計上などによるものです。

映画分野

映画分野の業績は、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結しているSony Pictures Entertainment Inc.(以下「SPE」)の円換算後の業績です。
ソニーはSPEの業績を米ドルで分析しているため、一部の記述については「米ドルベース」と特記してあります。

【2020年度の業績】
売上高は、前年度比2531億円(25%)減少し、7588億円となりました(米ドルベースでは、23%の減収)。
この大幅な減収は、主に映画製作及びテレビ番組制作における減収によるものです。映画製作では、前年度公開作品及びカタログ作品のホームエンタテインメント売上の増加があったものの、当年度において主に新型コロナウイルス感染拡大による映画館の閉鎖の影響により主要作品の劇場公開ができなかったため、減収となりました。

テレビ番組制作では、新型コロナウイルス感染拡大による作品制作の遅れなどにより納入数が減少したため、減収となりました。

営業利益は、前年度比123億円増加し、805億円となりました。この増益は、前述の減収の影響があったものの、主に新型コロナウイルス感染拡大により映画製作において主要作品の劇場公開ができなかった影響で広告宣伝費が減少したこと、及び前述のホームエンタテインメント売上の増加によるものです。
また、メディアネットワークにおけるチャンネルポートフォリオ見直し費用が前年度の170億円に対して当年度は50億円に減少したことも増益の要因となりました。

エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)分野

【2020年度の業績(前述のセグメント変更考慮前)】
売上高は、前年度比705億円(4%)減少し、1兆9207億円となりました(前年度の為替レートを適用した場合、3%の減収)。
この減収は、製品ミックスの改善によるテレビの増収はあったものの、主に販売台数の減少によるデジタルカメラ、放送用・業務用機器、オーディオ・ビデオの減収、ならびに為替の影響によるものです。

営業利益は、前年度比519億円増加し、1392億円となりました。この大幅な増益は、前述の減収の影響はあったものの、モバイル・コミュニケーションを中心としたオペレーション費用の削減や、テレビ、デジタルカメラにおける製品ミックスの改善などによるものです。 なお、当年度の為替の好影響は66億円でした。

イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野

【2020年度の業績】
売上高は、前年度比581億円(5%)減少し、1兆125億円となりました(前年度の為替レートを適用した場合、3%の減収)。
この減収は、主にモバイル機器向けイメージセンサーについて、販売数量が増加したものの、製品ミックスが悪化したことにより減収となったことや、為替の影響及び新型コロナウイルス感染拡大の影響によるデジタルカメラ向けイメージセンサーの販売数量の減少にともなう減収などによるものです。

営業利益は、前年度比897億円減少し、1459億円となりました。この大幅な減益は、研究開発費及び減価償却費の増加、前述の減収の影響、為替の悪影響、ならびに前述の米国の輸出規制を受けて出荷を停止していたモバイル機器向けの一部のイメージセンサーの在庫に関する評価減72億円の計上などによるものです。なお、当年度の為替の悪影響は86億円でした。

金融分野

金融分野には、SFH及びSFHの連結子会社であるソニー生命、ソニー損害保険㈱(以下「ソニー損保」)、ソニー銀行等の業績が含まれています。金融分野に記載されているソニー生命の業績は、SFH及びソニー生命が日本の会計原則に則って個別に開示している業績とは異なります。

【2020年度の業績】
金融ビジネス収入は、主にソニー生命及びソニー銀行の大幅増収により、前年度比3612億円増加し、1兆6689億円となりました。
ソニー生命の収入は、保有契約高が拡大したものの一時払保険料の減少により保険料収入が減少した一方で、特別勘定における運用益が増加したことにより、前年度比2992億円増加し、1兆4709億円となりました。
ソニー銀行の増収は有価証券評価損益の改善によるものです。

営業利益は、介護事業において固定資産の減損損失を計上したものの、ソニー銀行及びソニー損保の大幅増益により前年度比350億円増加し、1646億円となりました。 ソニー銀行の増益は前述の有価証券評価損益の改善、ソニー損保の増益は自動車保険の損害率の低下によるものです。
なお、ソニー生命の営業利益は、前年度比45億円増加し、1280億円となりました。
この増益は、変額保険等の市況の変動にともなう最低保証にかかる責任準備金の繰入額等及びヘッジを目的としたデリバティブ取引の損益の合計金額の悪化や新型コロナウイルス対策関連費用の計上などがあったものの、株式相場や金利の上昇にともなう責任準備金繰入額が減少したことなどによるものです。

3. 会社規模

時価総額:18兆3361億円(2022年1月7日時点)
純資産総額:5兆6214億円(2021年3月時点)
資本金:8802億円(2021年3月時点)
従業員数:109,700人(2021年3月時点)

4. 業績

【売上高にあたる売上収益9兆9000億円、営業利益1兆400億円】
22/3期の連結業績予想を上方修正。売上高にあたる売上収益9兆7000億円→9兆9000億円、営業利益9800億円→1兆400億円、経常利益9550億円→9900億円、純利益7000億円→7300億円。と好調な決算が期待できそうですが、過去の業績も見ておきましょう。

単位:百万円
決算期 売上高 営業益 経常益 最終益 修正1株益 1株配
2018.03 8,543,982 734,860 699,049 490,794 388.3 27.5
2019.03 8,665,687 894,235 1,011,648 916,271 723.4 35
2020.03 8,259,885 845,459 799,450 582,191 471.6 45
2021.03 8,999,360 971,865 1,192,370 1,171,776 952.3 55
2022.03 9,900,000 1,040,000 990,000 730,000 589.3

かなり安定して高い業績を上げ続けているのがわかりますね。

5. 財務分析

株式投資や企業研究を行う上で財務分析は非常に重要です。
いくら成長が期待できる企業でも財務基盤が安定していなければ、安定的な経営はできないからです。
財務基盤は企業にとって非常に重要なものになりますのでしっかり確認するようにしましょう。
財務分析を行う方法は様々ですが、一般的には「成長性」「収益性」「安全性」の3つの側面を見るべきだといわれています。
それではソニーグループの財務基盤を「成長性」「収益性」「安全性」から見てみましょう。

(1) 成長性

成長性は一般的には増収率 (売上がどれくらいのびているかを示す指標)で判断されます。
年20%以上の増収率を達成していればかなり優秀であるといわれています。
ソニーグループの2021年の売上高は8兆9993億円に対し2022年の予想売上高は9兆9900億円と約11%の増収になっています。 過去の売り上げ実績を見てもかなり順調に推移していることがわかりますね。

(2) 収益性

ソニーグループの最終利益は2020年が1兆1717億円、2021年が7300億円です。 減益ではありますが、日本有数の収益力に変わりはありません。

(3) 安全性

安全性は自己資本比率が高いと良いとされています。安全性が高いとされている目安は33%です。ソニーグループの自己資本比率は、14.14%と低いことがわかります。
ただし、積極的に事業に資金投下しているといえますのでそんなに大きな問題ではないでしょう。

6. トピック:ソニーのEV、CESで見た「進化」

米ラスベガスで開かれたテクノロジー見本市「CES」の会場で、ソニーグループが電気自動車(EV)を事業化する検討を始めたと表明しました。
同社が同じ場所でEVの試作車を公開してから丸2年。会場で新たな車両に試乗したり担当幹部の話を聞いたりすると、この間の有形無形の「進化」 が浮かび上がってきました。

「ソニーグループのコンテンツをできるだけちりばめる形で、ダッシュボード(計器盤)のエンターテインメント性を高めている」
CESの会場で取材に応じたソニーグループの常務はこのほど公開した新たな試作車「VISION-S02」についてこう説明していました。
2020年に公開した試作車はセダン型でしたが、02 は多目的スポーツ車 (SUV) 型としました。 ただ、車台は共通でクラウドコンピューティングの基盤も同じです。 スマートフォンのアプリで解綻やランプ点灯、車両状態の確認といった操作ができる点も共通しています。

一方、運転席前に備え付けた3枚のディスプレー画面などの活用方法は進化させました。
スマホのアプリには「スパイダーマン」「ゴーストパスターズ」などソニーグループが映画制作を担ってきたコンテンツが表示され、ひとつを選ぶとディスプレーの表示が切り替わりました。

ソニーグループの吉田憲一郎会長兼社長は同社のEVについて、安全性に加えてエンターテインメントとアダプタビリティー(一人ひとりの利用者に適応すること)を軸にすると説明。
好みのコンテンツに合わせた画面デザインの変更は具体例のひとつとなります。 会場は騒がしく確認は難しかったですが、操作音も選んだテーマに応じて変わるといいます。

ディスプレーはメーター表示や車両設定などの用途に加え、コンテンツを提供する「窓口」となります。
車両は高速通信規格「5G」でインターネットに接続することを想定しており、動画コンテンツなどの配信を見込んでいます。
動画配信サービスのような画面からスパイダーマンの最新作を選ぶと、すぐに再生が始まりました。
ゲームや音楽再生にも対応し、音楽では米アマゾン・ドット・コムの音声人工知能(AI)「アレクサ」を活用。

今回のCESでは同社や米グーグルが自動車会社との連携を相次いで発表。
ソニーグループはEVで画像処理半導体など自社の技術資産を生かす戦略ですが、米社が大きく先行する音声AIは「外部調達」するなど現実的です。 ただ、こうした一目で分かる進化はこの 2年間の成果のごく一部かもしれません。

先程の常務に、あまり公になることがなかった2年間の取り組みについて尋ねると、「もともと衝突安全などに配慮した走行する製品として設計していたが、それでも完成車のレベルとは何段かの差があった」と説明を始めました。
市販の自動車に使用する部品は耐久性などに関する厳しい基準を満たしたものだけですが、20年に公開した試作車に使用した部品には家電向けなども含まれていたといいます。
「当社は自動車会社ではなく、車載グレードの部品を十分に持っていなかった」(川西氏)ためですが、現在は市販車に使える部品の比率が高まっているといいます。 自動車産業に対する知識の向上も進化といえるかもしれません。

「EVは部品点数が少ない。水平分業化が進み、参入が容易になる」といった単純な見方も流布していますが、川西氏は「そもそも(EVで先行した)米テスラは垂直統合型。(水平分業化の議論には)いい面と悪い面があり、バランスが必要」と説明しました。
自動車業界では「バイワイヤ」などと呼ぶ電気信号による制御が増え、機械部品を置き換えつつあります。
こうした移行が一気に進めばIT(情報技術)業界で先行した部品の標準化と水平分業への切り替えが実現しやすくなります。 川西氏も「構成部品や機構が役割ごとに明確に切り分けられれば(業界の)構造が変わる」とみる一方、「実際はそうなっていない」といいます。

課題となるのは移行の速度です。スマホの製品サイクルが原則として1年ほどなのに対し、自動車は10年以上にわたって同じ製品を生産することもあります。
川西氏は「当社のような企業が手がけることでサイクル速度を速めることができ、それが価値になる」と指摘します。
一方、「すべての部品を自社で作れる訳ではなく、関係者が足並みをそろえる必要がある」と指摘しました。

「机上の議論ではなく、実際にやってみないと分からないことがある」。
CESの会場で会った旧知の電機メーカーの幹部はこう話していました。2年前に試作車を公表して走行試験などを続けてきたソニーグループはEVでまさにこうした経験をしてきたはずで、吉田氏も「(試験などを)積み重ねることでどのような貢献ができるか見えてきた」と認めています。

今回の「事業化を本格検討する」というソニーグループの説明に対しては「中途半端だ」といった指摘もあり、ある幹部は「社内でもどのような説明をすればいいのか議論があった」と明かします。
ただ、転換期を迎えた自動車産業について理解を深めたが故の慎重さなのではないか。歯切れの悪さこそが最大の進化といえるかもしれません。

7. 今後の業績予想

ソニーの業績は、高いところで安定しています。株価も非常に高いところで安定しており、今後も下がる業績の進捗が期待できます。 株価は順調に推移しているので今のうちに買っておいた方が良いかもしれません。

8. まとめ

今回は、何でも屋であるソニーグループについて紹介しました。

ソニーグループは、様々な事業を持っており、すべての事業が非常に強みがある珍しい会社です。 日本を代表する会社であり、株価は順調に推移しています。
今後もさらに爆発的に業績を伸ばす可能性がありますので、今のうちにぜひソニーグループの株を購入するのを検討してみてはいかがでしょうか。