空中ディスプレイのアスカネットってどんな会社なの?アスカネットについて徹底解説!
株式会社アスカネットは、デジタル写真加工サービス、及びフォトブックデザイン·作成サービス及び空中結像技術「空中ディスプレイ」の製造販売を行う企業です。
最近は、セブンアンドアイホールディングスやパナソニックなどの大企業とも提携することが多くなり急速に知名度を上げている会社になります。
東証マザーズに上場している上場企業でもありますが、まだまだアスカネットについて知らない方も多いでしょう。
そこで今回はアスカネットについて説明します。かなり詳しく説明しますので、銘柄研究や企業分析の役に立てて頂ければ幸いです。
1. 会社概要
まずは、アスカネットの沿革を見ていきましょう。
<沿革>
1982年:飛鳥写真工芸社設立。
1983年:株式会社飛鳥写真館として法人化。
1990年:デジタル事業部設置。
1991年:全国ラボを通じて写真館の失敗救済CGを開始。
1992年:画像の通信加工業務開始。
1995年:飛鳥写真館の事業部より独立し株式会社アスカネット設立 千葉市美浜区に関東支社を開設。
2000年1月:個人向け写真集(マイブック)製作事業の企画開発を開始。
2000年12月:営業、マーケティング拠点として、東京都港区に東京支社を開設。
2005年4月:東証マザーズ上場。
2005年6月:アメリカにおいて asukabookブランドにて本格的にサービス開始。
2008年12月:「かんたんマイブック」サービス開始。
2009年3月:写真集製作専用ソフトウェア「アスカブックメーカー」を日米同時リリース。
2011年2月:自分の遺影写真やメッセージ·家系図など終活に必要なツールをクラウドで無償提供する「遺影バンク」サービス開始。
2011年3月:空中に画像や映像、物体を結像させる技術、空中ディスプレイ「エアリアルイメージング事業」開始。
2016年2月:「マイブックライフ」をリリース。
2019年11月:葬祭業社向けクラウド印刷物作成ツール「SoSign(葬サイン)」提供開始。
2020年1月:葬儀社用Webサイ ト生成ツール「お葬儀.jp」(https://osougi.jp/)提供開始。
2020年2月:AWL 株式会社(https://awl.co.jp/) と資本業務提携。
2020年6月:エアリアルイメージング事業部が神奈川県相模原市に技術開発センターを設立。
2020年7月:7月6日、会社設立25周年を迎えた。
2. 事業内容
アスカネットの事業セグメントは3つに分かれています。
フューネラル事業
フューネラル事業は、新型コロナウイルス感染症拡大により参列者の制限など葬儀の小型化が継続しているものの、葬儀の施行自体は正常化している状況です。
そのような中、インサイドセールス機能の強化など営業体制の整備を進めるとともに、葬儀業界向けDXサービスの「tsunagoo」の機能強化やその普及、また、ピント修復ツールの活用による写真加工品質の強化などが奏功し、新規契約件数は順調に推移しました。
結果、主力である遺影写真加工収入が増加するとともに、動画等葬儀演出サービス売上が回復し、それに連動して額やサプライ品の売上も増加しました。
利益面につきましては、展示会の出展により広告宣伝費が増加したものの、売上増加による売上総利益の増加が寄与し、セグメント利益は増加しました。
フォトブック事業
当事業では、プロフェッショナル写真家向け市場は「アスカブック」、一般消費者向け市場は「マイブック」ブランドで展開しています。 また、スマートフォンで撮影された写真からフォトブックや写真プリントをOEM供給しております。
プロフェッショナル写真家向け市場では、主力であるウェディング向け写真集は、依然として新型コロナウイルス感染症拡大による結婚式の延期などの影響を強く受けているものの、地方を中心に制限を設けてのウェディング開催が見られ、想定よりは回復しております。
また、スタジオ向け写真集も堅調に推移し、 売上は前年同四半期を上回りました。
さらに、コロナ禍の環境に適応して、オンラインセミナーやオンライン商談、動画配信を充実させるとともに、等身大フォトコンテストやマタニティフォトコンテストの開催など市場の活性化にも努めてまいりました。
一般消費者向け市場については、旅行やイベントなどの自粛による撮影機会の減少により写真集ニーズが一時的に低下しており厳しい環境が継続しております。
OEM部門も同様の傾向であり、売上は前年同四半期実績を下回りました。このような中、工夫を凝らしたキャンペーンや効率的なプロモーションを実施してまいりました。
利益面につきましては、稼働率の回復により売上総利益が大きく増加し、また、販売費及び一般管理費を適切にコントロールした結果、セグメント利益は大幅に増加しました。
空中ディスプレイ事業
当事業は、空中結像技術を用いた新しい画像·映像表現により市場を創造することを目指しており、独自技術により空中結像を可能にする「ASKA3D プレート」について、ガラス製、樹脂製それぞれを開発、製造、販売しております。
営業面につきましては、国内は自社営業を主として、海外は代理店を主として販売を推進しており、国内では設置案件や実証実験案件の実績を重ねております。
海外は、活動が再開しつつあり、中国、中東、アメリカでの展示会出展をサポートしたほか、各エリアのニーズに応じた製品開発及び案件獲得支援を進めています。
新型コロナウイルス感染症拡大により営業活動に一定の制約があるものの、ガラス製ASKA3D
プレートはサイネージ用途に、 樹脂製 ASKA3D
プレートにつきましては、非接触操作を可能にする製品組込用途でのプレート販売を促進しています。
製造・開発面につきましては、ガラス製、樹脂製とも外製による生産の安定、
歩留まりの改善への取組を進めており、特にガラス製につきましては設備導入によるコスト削減への取組を加速させました。
技術開発センターでのガラス製 ASKA3D
プレートの製造技術の開発確立に向けて、小型プレートの試作を繰り返すほか、大型プレート生産へのチャレンジのためのスペースの拡大や製造設備導入を行いました。
売上につきましては、ガラス製 ASKA3D
プレートの販売が増加したため、売上高は前年同四半期実績を上回る結果となりました。まとまった数量の案件獲得が課題であると認識しています。
損益面につきましては、技術開発センターの本格稼働動に伴い研究開発費が増加したため、セグメント損失は前年同四半期実績に比べ拡大しました。
3. 会社規模
時価総額:158億円(2022年2月3日)
純資産総額:58億円(2021年4月)
資本金:4億9000万円(2021年4月時点)
従業員数:376人(2021年10月)
4. 業績
【8.6%増収、2.9%営業増益】
22/4期の単独業績予想は、売上高62.7億円(前期比8.6%増)、営業利益2.85億円(同2.9%増)、経常利益2.85億円(同13.6%減)、税引き利益2億円(同11.1%減)。
フューネラル事業においては、現状、葬儀が小型化しており、葬儀演出ツールなどの販売が減少し、販売単価が下落傾向にあります。
フォトブック事業においては、プロフェッショナル写真市場向けの主力であるウェディング用写真集の受注が婚礼の延期により減少しています。
コンシューマ向け市場においても、旅行やイベントの自粛などにより撮影機会が減少して22/4期上半期は厳しい状況が継続すると判断しています。
空中ディスプレイ事業については、新型コロナウイルス感染症拡大により空中結像による非接触操作が注目されている反面、海外において出張の自粛などで営業活動の制限を受け、各種案件の進捗が遅れたり、新規営業が捗らないリスクを前提としています。
新型コロナウイルス感染症拡大によって沈静化しているサイネージ市場については、22/4期下半期から活性化してくると捉えています。
それではアスカネットのここ数年の業績を見ていきましょう。
決算期 | 売上高 | 営業益 | 経常益 | 最終益 | 修正1株益 | 1株配 |
---|---|---|---|---|---|---|
2018.04 | 5,904 | 788 | 795 | 556 | 33.2 | 10 |
2019.04 | 6,295 | 868 | 873 | 598 | 35.6 | 11 |
2020.04 | 6,575 | 709 | 710 | 501 | 29.8 | 10 |
2021.04 | 5,773 | 277 | 330 | 225 | 13.4 | 7 |
予2022.04 | 6,270 | 285 | 285 | 200 | 11.9 | 7 |
非常に安定しているのがわかりますね。
5. 財務分析
株式投資や企業研究を行う上で財務分析は非常に重要です。
いくら成長が期待できる企業でも財務基盤が安定していなければ、安定的な経営はできないからです。
財務基盤は企業にとって非常に重要なものになりますのでしっかり確認するようにしましょう。
財務分析を行う方法は様々ですが、一般的には「成長性」「収益性」「安全性」の3つの側面を見るべきだといわれています。
それではアスカネットの財務基盤を「成長性」「収益性」「安全性」から見てみましょう。
(1) 成長性
成長性は一般的には増収率 (売上がどれくらいのびているかを示す指標)で判断されます。
年20%以上の増収率を達成していればかなり優秀であるといわれています。
アスカネットの2021年の売上高は57億円に対し2022年の予想売上高は62億円と108%の増益です。安定した売上高を誇っています。
(2) 収益性
アスカネットの最終利益は2021年が2億2500万円、2022年の予想利益は2億円です。減益ではありますが、ここ数年、安定していますので、大きな問題ではありません。
(3) 安全性
安全性は自己資本比率が高いと良いとされています。安全性が高いとされている目安は33%です。日本電産の自己資本比率は、90.1%です。安全性もかなり高い会社だとわかります。
6. トピック:アスカネット、大企業と続々と協働!
セブン&アイホールディングス(3382)傘下のセブンイレブンジャパンは1月28日、非接触型で空中にディスプレー画面の映像を表示するPOSレジの実証実験を都内の6店舗で2月1日から始めると発表しました。
実証実験に使う非接触型・空中ディスプレーのPOSレジは、マザーズ上場のアスカネット(2438)などが共同開発した技術を使っています。
アスカネットの独自調査によると、空中ディスプレーをPOSレジに採用した実証実験は世界で初めてだといいます。
また、パナソニックと大和ハウス工業、アスカネットは13日、非接触型のインターホンを使った実証実験を15日から始めると発表しました。
大和ハウスが手掛ける川崎市の分譲マンションのロピーに、バナソニックとアスカネットが開発した画面に触らずにボタン操作ができるインターホンを設置します。
使い勝手などを検証し、他マンションやオフィスビル向けの提案も検討します。
新型コロナウイルス禍の衛生意識の高まりに対応します。
実験は6月ごろまで実施予定で、集合住宅に非接触操作ができるインターホンを設置する実験を行うのは国内初としています。
操作画面にはアスカネットが開発した「空中ディスプレー」を活用します。特殊なパネルと光の反射を利用して、部屋番号などの表示が空中に浮かんでいるように見えます。
指の位置を感知するセンサーとパナソニックのインターホンシステムを組み合わせ、画面に触らずに入居者を呼び出すことができます。
7. 今後の業績予想
アスカネットの株価は、セブンイレブンとの連携の話題が出て、大きく上昇しています。 しかし、10年でみると、決して高値では、ありませんし、アスカネットの高い技術や世の中のニーズを考えるとさらに上昇するのではないでしょうか?
8. まとめ
今回は、広島が生んだ名門企業であるアスカネットについて説明をしました。
アスカネットはセブンイレブンとの提携で急上昇しましたが、アスカネットの技術は今後さらに多くの需要があるとみられます。 10年単位で見ると決して高値ではありませんので、ぜひ今回の記事を参考にしていただき、アスカネットに投資をしてみればいかがでしょうか。