名物経営者が率いる日本電産ってどんな会社なの?日本電産について徹底解説!

日本電産は現在、世界中にグループ企業約300社を擁しており、小さいものから大きいものまで、“回るもの、動くもの"全てを手がける「世界No.1の総合モーターメーカー」です。
会長の永守重信氏は、日本電産の創業者で、1代で日本を代表する小型モーター製造会社に育て、モーター事業において、世界トップ・シェアの業績を誇る世界的な大企業に育て上げました。 永守氏は多くのビジネス本を出版しているので一度は永守氏の本を読んだことがある方も多いのではないでしょうか?
しかし、日本電産や永守氏について聞いたことがあっても実際にどんな会社なのか知らない方も多いでしょう。
そこで今回は、日本電産について説明します。わかりやすく説明しますので是非参考にしてください。

1. 会社概要

まずは日本電産の沿革を見ていきましょう。


<沿革>

1973年4月:京都市において会社設立。精密小型ACモーターの生産を始める。

1974年:アメリカ合衆国に事業拠点を設置。

1978年9月:8インチフロッピーディスクドライブ用精密小型ACモーターの生産を開始。

1982年1月:0A機器用精密小型ACモーターの生産を開始。

1984年2月:アメリカのトリン社の軸受ファン部門を買収。本格的なM&Aを初めて行う。

1984年2月:3.5インチ型ハードディスク用スピンドルモータの生産を開始。

1986年12月:プラスチック型低コストファンの生産を開始。

1988年11月:大阪証券取引所第2部、京都証券取引所に株式を上場。

1998年9月:大阪証券取引所第1部に指定替え、同時に東京証券取引所第1部に上場。

2001年9月:ニューヨーク証券取引所に上場。

2011年7月:三洋精密(現・日本電産セイミツ)を買収。

2021年8月:三菱重工工作機械 (旧三菱重工業栗東工場)を買収、日本電産マシンツールへ社名変更。

2. 事業内容

日本電産の業務は主に6つのグループに分かれます。それぞれの事業の収益状況についてみていきましょう。

「精密小型モータ」製品グループ

売上高は前期比4.6%増収の4435億98百万円、為替の影響は前期比約51億円の減収要因となりました。HDD用モータは販売数量が前期比で約 22%減少したものの、製品構成の良化などにより売上高は前期比8.4%減収の1440億29百万円となりました。
一方、その他小型モータにおいては、IT用ファンモータ、高効率の家電用モータ、ゲーム機等のサーマルソリューション商材などの新製品を数多市場投入することで新規需要を次々に取り込んだことにより、売上高は前期比12.2%増収の2995億69百万円となりました。

営業利益はHDD用モータにおける製品構成の良化等及びIT用ファンモータをはじめとするその他小型モータの高付加価値新製品の売上増加による増益に加えて、部品内製化等の徹底的な原価改善などを実行し、前期比48.3%増益の669億23百万円となりました。為替の影響は前期比約9億円の増益要因となりました。

「車載」製品グループ

売上高は第1四半期連結会計期間を底に急回復したことに加え、オムロンオートモーティブエレクトロニクス買収の影響により前期比7.5%増収の3580億75百万円となりました。 為替の影響は前期比約1億円の減収要因となりました。

営業利益はWPR4プロジェクトによるあらゆる原価改善に総力を挙げて取り組んだ結果、トラクションモータ以外の既存製品の利益は第1四半期連結会計期間を底に急回復し、二桁を超える営業利益率までの改善を継続しているものの、 需要が急拡大しているトラクションモータシステム (E-Axle)等の先行開発費などを継続して計上しているため、前期比7.9%減益の195億26百万円となりました。為替の影響は前期比約1億円の減益要因となりました。

「家電・商業・産業用」製品グループ

売上高は家電向けコンプレッサの売上が大幅に増加しているエンブラコ買収の影響に加え、 欧米での搬送用ロボット向けモータ及びギアの増収により、前期比6.9%増収の6016億11百万円となりました。為替の影響は前期比約117億円の減収要因となりました。

営業利益は欧州等で当連結会計年度に構造改革費用約57億円を計上したものの、増収及び徹底的な原価改善などを実行したことにより、営業利益率が2.8%改善し、前期比56.2%増益の530億25百万円となりました。
その結果、第3四半期連結会計期間、当第4四半期連結会計期間と連続して構造改革費用を除く営業利益率10%超を確保しました。 為替の影響は前期比約17億円の減益要因となりました。

「機器装置」製品グループ

売上高は5G向け需要が好調な半導体検査装置の増収などにより、前期比0.6%増収の1505億75百万円となりました。為替の影響は前期比約11億円の減収要因となりました。

営業利益は5G向け新製品需要の取り込みによる増益や原価改善及び固定費適正化の効果により前期比21.5%増益の264億5百万円となりました。為替の影響は前期比約4億円の減益要因となりました。

「電子・光学部品」製品グループ

売上高は前期比0.7%増収の608億24百万円、為替の影響は前期比約8億円の減収要因となりました。営業利益は新製品投入による増収及び固定費改善を主因に、前期比97.3%増益の63億15百万円となりました。為替の影響は前期比約4億円の減益要因となりました。

「その他」製品グループ

売上高は前期比25.4%減収の33億81百万円、営業利益は前期比36.1%減益の3億91百万円となりました。

3. 会社規模

時価総額:5兆7487億円(2022年1月28日)
純資産総額:1兆1139億円(2021年3月時点)
資本金:877億円(2021年3月時点)
従業員数:110,801人(2021年9月時点)

4. 業績

【11.2%増収、18.7%営業増益】
22/3期の連結業績予想を上方修正。売上高にあたる売上収益1兆7000億円→1兆8000億円(前期比11.2%増)、営業利益1800億円→1900億円(同18.7%増)、経常利益1750億円→1850億円(同20.9%増)、純利益1400億円→1480億円(同21.3%増)。
為替レートの想定は1米ドル=105円、1ユーロ=117円。IMFは2021年10月時点で世界経済成長率を2021暦年5.9%、2022暦年に4.9%と予測しています。

ワクチン接種進行や新薬承認による新型コロナウイルス感染症抑制への期待は高いものの、半導体供給懸念、原材料価格高騰、新型コロナウイルスの新興国での感染拡大に加えて、原油価格高騰、電力不足、企業債務不履行などのリスク要因も顕在化しつつあり、予断を許さない状況が続くことが見込まれます。

当第2四半期連結累計期間の業績は、前回(2021年7月21日)に公表した業績予想の想定を上回る実績となったので、通期の業績予想の見直しをしました。

では、日本電産の最近の業績を見ていきましょう。

単位:百万円
決算期 売上高 営業益 経常益 最終益 修正1株益 1株配
2018.03 1,488,090 166,842 163,665 130,834 221 95
2019.03 1,518,320 138,620 139,014 110,798 187.9 105
2020.03 1,534,800 108,558 105,160 58,459 99.4 115
2021.03 1,618,064 160,011 152,978 121,977 208.2 60
予想2022.03 1,800,000 190,000 185,000 148,000 253.2 65

このように日本電産はかなり高いところで業績が安定していることがわかります。

5. 財務分析

株式投資や企業研究を行う上で財務分析は非常に重要です。
いくら成長が期待できる企業でも財務基盤が安定していなければ、安定的な経営はできないからです。
財務基盤は企業にとって非常に重要なものになりますのでしっかり確認するようにしましょう。
財務分析を行う方法は様々ですが、一般的には「成長性」「収益性」「安全性」の3つの側面を見るべきだといわれています。
それでは日本電産の財務基盤を「成長性」「収益性」「安全性」から見てみましょう。

(1) 成長性

成長性は一般的には増収率 (売上がどれくらいのびているかを示す指標)で判断されます。
年20%以上の増収率を達成していればかなり優秀であるといわれています。
日本電産の2021年の売上高は1兆6180億円に対し2022年の予想売上高は1兆8000億円と111%の増益です。高いところで安定しており、今後も期待できそうです。

(2) 収益性

日本電産の最終利益は2021年が1600億円、2022年の予想利益は1900億円です。順調に増益を続けています。

(3) 安全性

安全性は自己資本比率が高いと良いとされています。安全性が高いとされている目安は33%です。日本電産の自己資本比率は、50.42%です。安全性もかなり高い会社だとわかります。

6. トピック:日電産、「失望」完全否定の永守節 業績懸念は打ち消せず

「記事のようなことは一切ない」「会ったこともない人が勝手に書いている」。日本電産(6594)が1月26日に開いた決算説明会で永守重信会長はこう言い切りました。
事前に伝わった永守会長が関潤社長に失望しているとの報道を「永守節」で完全に否定。関社長も「不安に思っていただく必要は全くない」と応じました。 経営を巡る過度な懸念が後退し株価は上昇か、と思われましたが、27日の東京市場で日電産株は前日比560円(5.5%)安の 9650円まで下げました。足元の業績への懸念がそれ以上に大きいようです。

ことの発端は「永守会長が関社長への失望感を強めている」と伝えた米ブルームバーグ通信の25日の報道。記事は永守氏の見方として「関氏の入社以降、車載事業で計画未達が続いたため、日電産の相対的な業績は悪化しました。経営力の低い人物をトップに据えたのは判断ミスだった」などと報じていました。

経営を巡る不透明感に米金融引き締めによる高PER(株価収益率)銘柄への逆風が重なり、日電産株は今週に入り26日までの3営業日で11%下落。きょうの下げで節目の1万円を大きく割り込みました。永守氏が一蹴した外電記事ですが、業績悪化という面でみれば間違いとも言い切れません。

2021年10〜12月期の売上高は前四半期の7〜9月期比7%増の4965億円と3四半期連続で過去最高を更新しましたが、営業利益は443億円と3%減りました。モーターに使われる電磁鋼板などの高騰で「製品価格の値上げと価格転嫁を差し引きすると90億円の(マイナス)影響が出た」(永守氏)といいます。
特に車載事業の利益率低下が目立ちました。材料価格の高騰が続くなか、価格転嫁がこの先どれほど進むのか見通しにくい。岩井コスモ証券のシニアアナリストは「10〜12月期が業績の底とも言い切れない。トヨタ自動車(7203)など自動車メーカーの減産による(販売機会の喪失の)影響も気がかりだ」と話します。

日電産は22年3月期(今期)の営業利益を19%増の1900億円とする計画を据え置きましたが、4〜12月期累計の実績は1346億円と進捗率は71%にとどまります。計画達成のハードルの高さが意識されます。
もっとも、説明会では長期的な目線で期待の持てる話題も披露されました。

電気自動車(EV)用駆動モーターシステムの「イーアクスル」の販売台数は昨年以来、増加傾向が続き、21年11月には単月で2万台を突破。さらに 23 年3月期(来期) の受注は70万台に達しているといいます。 今後はイーアクスルの生産能力増強のため、3000 億円を投じる計画も示されました。
「26年3月期に 350 万台」との販売計画こそ据え置きましたが「今後は販売に加速感が出てきそう」(外資系証券)と期待する声もあります。

短期的な業績悪化への懸念に加え、米金融引き締めによる成長株売りの流れで、日電産株も目先は低迷が避けられそうにありません。
ただ「短期の値動きではなく、5年先10年先の成長可能性を見るべき会社」(岩井コスモ証券のアナリスト)との見方が多いのも事実。株価下落でも期待が消えたわけではありません。

7. 今後の業績予想

日本電産の株価は、最近、大きく上下動しています。 業績の悪化も懸念されていますが、短期の値動きではなく5年先を見ればかなり成長を見込める会社であるといえるでしょう。 株式投資の基本は長期分散投資であることを考えると、現在の状況が厳しくても、日本電産はポートフォリオに組み入れるべきだと考えます。

8. まとめ

今回は、永守会長一代で世界的大企業になった日本電産について説明をしました。

日本電産は、永守会長のワンマン経営であると思われがちですが決してそんな事はありません。
また、現在の株価は乱高下していますが、中長期目線で見ればかなり期待できる会社です。 ぜひ今回の記事を参考にしていただき、長期目線で日本電産に投資をしてみればいかがでしょうか。