三大海運会社の三井商船ってどんな会社?

商船三井は、日本郵船・川崎汽船と並ぶ日本の三大海運会社の1社です。LNG輸送分野に強みを持ち、海運業界では日本第二位の売上高と利益を誇ります。 日経平均株価にも採用されており、値がさ株としてたびたび注目を集めています。一日で10%以上の値動きすることも多く、デイトレード銘柄としても有名です。
しかし、商船三井の名前について聞いたことがある方でも、商船三井の業務内容に詳しく知らない方は多いのではないでしょうか?
そこで今回は、商船三井について説明します。かなり詳しく説明しますので、株式投資や企業研究の参考にしてください。

1. 会社概要

商船三井の沿革を見ていきましょう。


<沿革>

1878年:三井物産、鉄製蒸気船「秀吉丸」で三池炭の海外輸送を開始。

1884年:瀬戸内航路を主として運航する60余りの船問屋を統合して、大阪商船設立。

1907年:大阪商船、日本郵船、湖南汽船、大東汽船が合弁で、上海に日清汽船を設立。

1909年:辰馬汽船合資会社設立(1916年に辰馬汽船株式会社に改組、のち新日本汽船)。

1942年:三井物産の船舶部門が三井船舶株式会社として分社化。

1947年:財閥解体により辰馬汽船が新日本汽船となる。

1964年:三井船舶が大阪商船と合併し、 大阪商船三井船舶株式会社となる。

1999年:大阪商船三井船舶とナビックスラインが合併、株式会社商船三井となる。本社 子会社の国内定航船事業を統合し、 株式会社エム・オーエル・ジャパン(現:株式会社 MOLJAPAN)が発足。

2003年:ナビックス内航株式会社に商船三井フェリー株式会社の内航不定期船部門を統合 し、商船三井内航株式会社に商号を変更。

2009年:関西汽船株式会社の株式を公開買付し子会社化。

2. 事業内容

商船三井の事業セグメントは主に4つあります。

ドライバルク船事業

ケープサイズの上半期の市況は、中国の需要回復及び運賃先物上昇による相乗効果で改善し、全般的に底堅く推移しました。 下半期は、旺盛な中国の原料需要に加え日韓欧等の需要も回復したことで、秋口に再度上昇したものの、以後は下落基調で推移しました。12月半ばには中国揚地での滞船増加を背景に堅調となる場面があり、また3月上旬からは好調なパナマックス市況が波及し上昇基調の時期もありました。

パナマックスの上半期の市況は、旺盛な南米出しの穀物の輸送需要に支えられ、夏場にかけて上昇した後は中国向け石炭輸送需要の減少により低調に推移しました。 下半期は、北米穀物等の輸送需要に下支えされ、年明け以降では堅調な中国向けの石炭需要と天候不順により南米穀物の収穫時期が遅れ積地で滞船が生じるとの観測、さらに代替として北米穀物の需要が高まったことから船腹需給が引き締まり急騰し、高値圏で推移しました。

一方で、木材チップ船とオープンハッチ船においては、中国向け製紙原料とパルプの輸送需要に回復は見られたものの、全般的に低調な荷動きと市況の影響を受けました。また、当社連結子会社MOL BRIDGE FINANCE S.A.社において、持分法適用関連会社GEARBULK HOLDING AGに対する貸付金について貸倒引当金を計上したため、ドライバルク船事業全体では、前年同期比で大幅な損益悪化となりました。

エネルギー輸送事業

<油送船>

原油船市況は、原油安を受けた洋上備蓄需要の高まりにより春には歴史的高値を記録しましたが、その後は備蓄需要解消や協調減産の継続により荷動きが回復せず、下落基調が続きました。

石油製品船市況は、原油船同様に春に高値を記録した後、製油所稼働率の低下から荷動きが低迷したため、夏場にかけて下落基調となり、その後も低調に推移しました。
このような市況環境下において、安定的な長期契約の履行に加え、市況の歴史的高値をとらえて有利契約を獲得したこと等により、油送船部門全体としては前年同期比で大幅な増益を達成しました。

<LNG船・海洋事業>

LNG船部門においては、新たにLNG船4隻及びLNG燃料供給船1隻の契約が開始した他、既存の長期貸船契約を主体に安定的な利益を確保し、前年同期比で増益となりました。

海洋事業部門においては、FPSO事業で既存プロジェクトが順調に稼働し黒字を計上しましたが、FSRU事業では1隻を従来契約完了後に次の長期契約まで短期契約に投入した 結果、前年同期比で損益悪化となりました。

製品輸送事業

<コンテナ船>

コンテナ船は、当社持分法適用会社ONE社において、北米航路を中心に巣ごもり需要を背景とした夏場以降の旺盛な荷動きがあった一方、労働者不足に伴う港湾混雑の発生やアジアにおけるコンテナ不足など様々な理由で供給面の制約があったことにより、スポット賃率は前年同期を大幅に上回るレベルで推移しました。
また燃料油価格が総じて安値圏を維持したこともあり、前年同期比で大幅な増益となりました。

<自動車船>

完成車の輸送台数は、新型コロナウイルスの流行による世界的な完成車減産の影響を受けて、第3四半期以降回復したものの、前年同期比では大きく減少しました。
解撤や返船を含む船腹供給量の調整、停船による費用削減等、業績への影響を最小限に留める対策に取り組みましたが、前年同期期比で大幅な損益悪化となりました。

<フェリー・内航RORO船>

フェリー・内航RORO船については、新型コロナウイルスの影響により旅客が大幅に落ち込みました。 フェリー船内やターミナルでの感染症対策を強化するなど、ウィズ・コロナの施策を進め、政府のGo Toトラベル事業を追い風に一時回復が見られましたが、年初以降の感染の再拡大に伴い、総じて低調に推移しました。
一方、荷動きは航路により濃淡はあるものの足元では回復基調にありますが、全般的には前期を下回る状況が継続した結果、損益は前年同期比で悪化しました。

関連事業

不動産事業においては、当社グループの不動産事業の中核であるダイビル(株)による、新規物件取得が寄与し、前年同期比で増益となりました。

客船事業は11月から運航再開となりましたが、新型コロナウイルス感染拡大のため多くのクルーズ運航中止を余儀なくされ、前年同期比で大幅な損益悪化となりました。

曳船事業も作業対象船の入出港減少により、前年同期比で減益となりました。また旅行事業においても海外渡航需要の減少によって前年同期比で損益悪化となりました。

その他の商社等の業績は概ね堅調に推移しましたが、関連事業セグメント全体では前年同期比で減益となりました。

3. 会社規模

時価総額:1兆3008億円(2022年3月9日現在)
資本金:654億円(2021年3月時点)
純資産総額:6991億円(2021年3月時点)
従業員数:8571人(2021年3月時点)

4. 業績

【27.1%増収、営業利益540億円】
22/3期の連結業績予想を上方修正。売上高1兆2200億円→1兆2600 億円(前期比27.1%増)、営業利益450億円→540億円(前期は53.03億円の赤字)、経常利益4800億円→6500億円(同4.9倍)、 純利益 4800億円→6300 億円(同7倍)。
このように商船三井の業績は非常に好調です。ではここ5年の業績も見ておきましょう

単位:百万円
決算期 売上高 営業益 経常益 最終益 修正1株益 1株配
2018.03 1,652,393 22,684 31,473 -47,380 -396.2 11
2019.03 1,234,077 37,718 38,574 26,875 224.7 45
2020.03 1,155,404 23,779 55,090 32,623 272.8 65
2021.03 991,426 -5,303 133,604 90,052 753 150
予2022.03 1,260,000 54,000 650,000 630,000 5,247.30 1,050

2021年を除いてかなり安定しているのがわかりますね。さすが日本を代表する海運会社です。

5. 財務分析

株式投資や企業研究を行う上で財務分析は非常に重要です。
いくら成長が期待できる企業でも財務基盤が安定していなければ、安定的な経営はできないからです。
財務基盤は企業にとって非常に重要なものになりますのでしっかり確認するようにしましょう。
財務分析を行う方法は様々ですが、一般的には「成長性」「収益性」「安全性」の3つの側面を見るべきだといわれています。
それでは商船三井の財務基盤を「成長性」「収益性」「安全性」から見てみましょう。

(1) 成長性

成長性は一般的には増収率 (売上がどれくらいのびているかを示す指標)で判断されます。
年20%以上の増収率を達成していればかなり優秀であるといわれています。
商船三井の2021年の売上高は9914億円に対し2022年の予想売上高は1兆2600億円と127%の増益です。大きく売上高を伸ばしているのがわかりますね。

(2) 収益性

最終利益は2021年が900億円、2022年の予想は6300億円の黒字です。まさにV字回復をしています。

(3) 安全性

安全性は自己資本比率が高いと良いとされています。安全性が高いとされている目安は33%です。商船三井の自己資本比率は、27.6%です。この規模の会社であればまったく問題ないでしょう。

6. トピック:商船三井、台湾の洋上風力に出資~国内でもファンド設立~

商船三井は3月4日、台湾の洋上風力発電事業へ出資すると発表しました。4~5月ごろまでに東邦ガスなどと連携して発電所運営会社の株式を25%取得します。投資額は非開示。商船三井によると日本の海運大手による洋上風力発電所運営への参入は初めて。国内でも洋上風力向けのファンドを立ち上げ、脱炭素で成長が見込める事業に投資を振り向けます。

洋上風力発電所を運営する「フォルモサワン・インターナショナルインベストメント」の 株式のうち、オーストラリアの大手金融会社マッコーリー・グループの持ち分を取得します。

商船三井や東邦ガス、北陸電力の3社が台湾に設立する特別目的会社(SPC) を介して出資。SPCには商船三井と東邦ガスがそれぞれ37.5%、北陸電力が25%出資しています。台湾当局の承認などを経て取引が完了する予定です。

フォルモサワンは事業子会社を通じて台湾の苗栗県沖で発電容量12.8万キロワットの洋上風力発電所「フォルモサ1」を2017年から運営しています。 台湾初の商用洋上風力発電所で、固定価格買い取り制度(FIT)で台湾の電力会社に売電しています。 台湾は洋上風力において比較的先行しており、日本と距離も近いことなどから参入を決めました。今後はSPCから役員を派遣するなどの形で運営に携わります。

商船三井は同日、国内で風力発電設備保守の北拓(北海道旭川市)と共同で「北拓・MOLウインドエナジー投資事業有限責任組合(北拓・ MOL風力ファンド)」を設立すると発表しました。日本の洋上風力発電所に投資し、海外事業への投資も視野に入れます。当面は100億 円規模での運用を目指します。

7. 今後の業績見通し

商船三井の業績は今後、大きく飛躍すると私は考えます。なぜなら、海運事業の需要はさらに高まる可能性があるからです。日本有数の海運会社である商船三井はますます業績を上げるのではないでしょうか?

8. まとめ

今回は商船三井についてまとめました。商船三井の株価は現在急上昇しています。今後さらに上昇すると私は見ています。ぜひ今回の記事を参考に商船三井の株を購入してみてはいかがでしょうか。
商船三井の株は1日でも大きく動くのでデイトレードにもおすすめですよ。