日本最大の電力会社!東京電力について徹底解説!

東京電力という会社について一度は聞いたことがある方は多いでしょう。
東京電力ホールディングス株式会社は、電力事業を行う企業グループである東京電力グループの持株会社です。 自社で原子力発電事業や原子力損害に対する賠償・除染事業を行っている日本最大の電力会社になります。
東京証券取引所一部に上場されており、日経平均株価にも採用されている日本を代表する電力会社ですが、東京電力について詳しく知らない方は意外と多いのではないでしょうか?
そこで今回は東京電力ホールディングスについて説明します。 かなり詳しく説明しますので銘柄選定や企業研究の役に立てていただければ幸いです。

1. 会社概要

まずは東京電力の会社概要についてみていきましょう。


<沿革>

1951年:松永安左エ門(電気事業再編成審議会委員長)のGHQへの説得による、国会決議より効力が強いGHQポツダム政令を元に、戦時統合によって発足した関東配電と日本発送電を再編して、東京電力株式会社設立。東証1部に上場。

1955年:戦後初の新設石炭火力発電所、鶴見火力発電所(鶴見第二火力発電所)1号機が運転開始。

1961年:石炭火力発電所、川崎火力発電所1号機が運転開始(のちにナフサを経てLNGに転換)。

1970年:世界初のLNG専焼火力発電所、南横浜火力発電所2号機が運転開始。

1974年:電気使用制限が実施される。

1987年:コーポレートアイデンティティ導入。設立時から使われていた社章「かみなりマーク」を廃止し、新しい社章(丸を並べてアルファベットの「T」を表したもの:作者・永井一正)と、コーポレートシンボル「TEPCO」が導入された。また、これと同時に社名ロゴタイプも変更し、文字が細いタイプと文字が太いタイプの2種類があり、用途によって使い分けている。

1987年:コンビニエンスストアで電気料金収納が始まる。

1999年:ソフトバンク・マイクロソフトとともに高速インターネット接続会社スピードネットを設立。

2000年:改正電気事業法が施行され、電力小売自由化スタート。

2010年:福島第一原子力発電所2号機の外部電源への自動切換に不具合が発生し、電源源喪失事故に発展。

2011年3月11日:東北地方太平洋沖地震(震災名:東日本大震災)およびこれに伴う津波被害により、運営する発電所の多くが被災する(2原発・8火力・18水力)。さらに福島第一原子力発電所・福島第二原子力発電所が運転停止し、津波による浸水で、福島第一原子力発電所の非常用発電機が停止し停電、沸騰水型原子炉に注水ができなくなる事態となる『福島第一原子力発電所事故』が発生し、3月12日・3月14日に、原子炉建屋が水素爆発で建物や原子炉が破壊される事故が発生した。 後日、炉心溶融により、国際原子力事象評価尺度『レベル7』に相当する、放射性物質漏れを伴う重大事故になる。

2013年:川崎火力発電所2号系列第1軸(50万kW)が運転開始。震災後初となる大型火力。

2016年:家庭用電力小売全面自由化に向けて、ソフトバンクと提携し「ソフトバンクでんき」を発表。

2016年:電力自由化に際し、持株会社体制に移行し「東京電力株式会社」から「東京電力ホールディングス株式会社」に社名変更。燃料・火力発電事業は「東京電力フュエル&パワー株式会社」が、送配電事業は「東京電力パワーグリッド株式会社」が、小売電気事業は「東京電力エナジーパートナー株式会社」が承継。3代目コーポレートシンボル導入。ただし「東京電力パワーグリッド」は、送配電事業の中立性を担保するため、他の持株会社や2つの事業会社とは異なる独自商標を使用。なお、イメージカラーはグループ共通の赤色である。
電力完全自由化により、東京電力管内の顧客は「東京電力エナジーパートナー」以外の電力をスイッチングで自由調達出来る様になったため、東電から新電力への顧客流出が続く。

2. 事業内容

東京電力ホールディングスの事業セグメントは5つに分かれています。それぞれの事業セグメントの内容を見ていきましょう。

・ホールディングス

・フュエル&パワー

・パワーグリッド

・エナジーパートナー

・リニューアブルパワー

それぞれのセグメントの特徴について説明します。

ホールディングス

経営サポート、各基幹事業会社(東京電力フュエル&パワー(株)、東京電力パワーグリッド(株)、 東京電力エナジーパートナー(株)、 東京電力リニューアブルパワー(株)への共通サービスの効率的な提供、原子力発電など

フュエル&パワー

火力発電による電力の販売、燃料の調達、火力電源の開発、 燃料事業への投資

パワーグリッド

送電、変電、配電による電力の供給、送配電、通信設備の建設、保守、設備土地、建物などの調査、取得、保全

エナジーパートナー

顧客の要望に沿った最適なトータルソリューションの提案、充実した顧客サービスの提供、安価な電源調達

リニューアブルパワー

再生可能エネルギー発電による電力の販売、設備の維持管理、国内外における再生可能工ネルギー電源の新規開発、投資

3. 会社規模

時価総額:6122億円(2022年3月24日時点)
資本金:1兆4009億円(2021年3月時点)
純資産総額:3兆1428億円(2021年3月時点)
従業員数:38,435人(2021年3月時点)

4. 業績

【13.9%減収、経常損益160億円の赤字】
22/3期の連結業績予想を修正。売上高4兆8500億円→5兆510億円(前期比13.9%減)、経常損益130億円の赤字→160億円の赤字(前期は1898.8億円の黒字)、最終損益160億円の赤字→410億円の赤字 (前期は1808.96億円の黒字)。

このように22/3期の決算はかなり苦しいものになりそうですが、過去の東京電力の決算状況はどうだったのでしょうか。

決算期 売上高 営業益 経常益 最終益 修正1株益 1株配
2018.03 5,850,939 288,470 254,860 318,077 198.5 0
2019.03 6,338,490 312,257 276,542 232,414 145.1 0
2020.03 6,241,422 211,841 264,032 50,703 31.7 0
2021.03 5,866,824 143,460 189,880 180,896 112.9 0
予2022.03 5,051,000 19,000 -16,000 -41,000 -25.6 0

このようにかなり厳しい状況が続いているのがわかります。

5. 財務分析

株式投資や企業研究を行う上で財務分析は非常に重要です。
いくら成長が期待できる企業でも財務基盤が安定していなければ、安定的な経営はできないからです。
財務基盤は企業にとって非常に重要なものになりますのでしっかり確認するようにしましょう。
財務分析を行う方法は様々ですが、一般的には「成長性」「収益性」「安全性」の3つの側面を見るべきだといわれています。
それでは東京電力の財務基盤を「成長性」「収益性」「安全性」から見てみましょう。

(1) 成長性

成長性は一般的には増収率 (売上がどれくらいのびているかを示す指標)で判断されます。
年20%以上の増収率を達成していればかなり優秀であるといわれています。
東京電力の2021年の売上高は5兆8668億円に対し2022年の予想売上高は5兆510億円と1309%の減益です。ここ最近は減収傾向が続いていますので巻き返しが期待されます。

(2) 収益性

最終利益は2021年が1808億円の黒字、2022年の予想は160億円の赤字です。収益性についても改善が期待されます。

(3) 安全性

安全性は自己資本比率が高いと良いとされています。安全性が高いとされている目安は33%です。東京電力の自己資本比率は、25.8%です。日本を代表する電力会社なので安全性は高いといえます。

6. トピック:東京電力HD急伸〜維新の緊急経済対策提出受けて原発再稼働への期待

3月16日、東京電力HD<9501>は急伸。日本維新の会は前日に、ロシアのウクライナ侵攻による電力価格の高騰などに対応する緊急経済対策を提出。 ここでは、「内閣の責任」として原発再稼働を求め、原子力規制委員会が求めるテロ対策設備が完成する前でも再稼働を可能にするよう提言しています。 原発政策の見直しにつながっていく可能性なども意識、この日は電力株が総じて強い動きになりました。
このように東京電力にとって原発の再稼働は、業績を左右する大きな問題です。今後もこの傾向に変わりはないでしょう。

7. 今後の業績見通し

東京電力の業績はやはり原発政策によって大きく左右されるでしょう。 2011年以降、配当も出ていないのでなかなか保有するのが難しい株式であることに間違いありません。
しかし、日本を代表する世界的な電力会社であることに変わりはなく、今後、節目が変われば、大きな成長が期待できます。 10年タームで見れば株価が割安であることに間違いなく、長期目線で今の時期に仕込むのは決して悪くないのではないでしょうか。

8. まとめ

今回は東京電力について説明しました。東京電力は日本最大手の電力会社です。
2011年の東日本大震災以降、業績は大きく下降しました。配当もゼロの状況が続いており、決して楽観視できる状況ではありません。
しかし、原発政策もしくは新たなエネルギー源を見つけることができれば、大きく業績が上向く可能性は十分にあります。 長期目線で考えれば決して東京電力への投資は悪くないと私は考えます。 ぜひ今回の記事を参考に東京電力への投資を検討してみてはいかがでしょうか。