牛丼の吉野家!吉野家ホールディングスについて徹底解説!

「早い。安い。うまい。」のキャッチフレーズで有名な吉野家。1899年に設立され、東証プライムにも上場している名門企業です。 吉野家の牛丼に一度はお世話になった方も多いのではないでしょうか?
最近、元常務取締役の問題発言で話題になることも多いですが、皆さんは吉野家の牛井についてはよく知っていても吉野家の経営状況については知らない方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は吉野家について説明します。かなり詳しく説明しますので株式投資の銘柄選定や企業研究の参考にしてください。

1. 会社概要

吉野家の沿革を見ていきましょう。


<沿革>

1899年:東京府東京市日本橋区(現:東京都中央区日本橋)にあった魚市場に個人商店𠮷野家が誕生(創業)。

1952年:24時間営業を開始。

1958年:松田瑞穂社長が牛丼屋の企業化をめざし(初代)株式会社𠮷野家を設立。

1965年:年商1億円を達成。渥美俊一の教えを受け、チェーン展開の構想を練り始める。

1973年:フランチャイズ事業を開始(1号店・小田原店)

1980年:120億円の負債を抱えて、7月15日に東京地方裁判所へ会社更生法の適用を申請し倒産。

1983年:更生計画が認可され、セゾングループ傘下で再建に乗り出す。

1987年:更生計画終結。倒産の元になった債務(更生債務100億円)を完済。

1988年: 同じセゾングループのダンキンドーナツ運営会社「株式会社ディー・アンド・シー」と合併し、株式会社𠮷野家ディー・アンド・シーになる。

1990年:株式を店頭公開(JASDAQ店頭市場)。

1997年:会社更生法の適用を申請した持ち帰りすし店チェーン「京樽」の再建支援に乗り出し、子会社化。シンガポール1号店オープン。

1998年:高知県に初出店し、全都道府県への出店を達成。ダンキンドーナツ事業から撤退。

2000年:東京証券取引所第一部に上場。

2004年:讃岐うどん店のはなまるうどん運営会社の株式会社はなまると資本業務提携。33.4%出資してグループ企業化。

2006年:株式会社はなまるへの出資比率を51%に高めて、子会社化。

2007年:純粋持株会社への移行を発表。持株会社体制への移行に伴い、株式会社𠮷野家ディー・アンド・シーから社名を株式会社𠮷野家ホールディングスへ商号変更。

2009年:日本国外の事業展開迅速化のため子会社「株式会社𠮷野家インターナショナル」設立を発表、事業開始は同年3月1日。

2014年安部修仁𠮷野家HD会長が取締役を退任。

2021年:傘下の京樽の全株式を、あきんどスシローの持株会社であるFOOD & LIFE COMPANIESに売却。

2. 事業内容

吉野家の企業セグメントは3つです。
・吉野家
・はなまる
・海外
それぞれのセグメントの状況についてわかりやすく説明します。

吉野家

売上高は1,070億47百万円と前年同期比1.4%の増収となりました。増収の主な要因は、各種販促施策が奏功したことです。
テイクアウト、デリバリーの需要獲得に加え、緊急事態宣言解除以降に店内飲食の需要が一時的に回復しました。

既存顧客の来店頻度向上策として、高付加価値牛肉商品の「牛焼肉井」や「牛皿麦とろ御膳」、冬の定番「牛すき鍋膳」を販売し、新規顧客の獲得やライフタイムバリュー向上策として、「お子様割引」や「Pokémon GO」「ポケ盛」「呪術廻戦」とのコラボレーション販促を実施し、高タンパク質テ低糖質メニューの第3弾「ライザップ辛牛サラダ」を販売しました。
需要が高まっているテイクアウト、デリバリーについては、「牛井3丁割引キャンペーン」、牛すき鍋膳やから揚げの「テイクアウト10%オフキャンペーン」を実施。

利便性向上の取組みとして、テイクアウト注文専用タブレットの導入および専用受取窓口の設置店舗拡大などの機能強化を図っています。 デリバリー対応店舗は953店舗(前期末+202店舗)に拡大しました。

「中食手数料内食」需要獲得に向けては「冷凍牛井の具」の販売を強化し、売上前年同期比は20%増と好調に推移しています。

新たな販売チャネルであるドラッグストアでの「牛井弁当」の販売も開始し、販売店舗は2月末で51店舗となりました。

緊急事態宣言後の10月〜12月においては、コロナ禍で落ち込んだ外食消費全体を底上げすべく、史上初の外食業界横断ブロジェクト「#外食はチカラになる」を立ち上げ、店内飲食の喚起を狙い「定食・御膳・鍋膳10%オフキャンペーン」を実施しました。
また、原材料高騰に対し主力商品の価格改定を行う等、機動的に施策を展開しました。

これらの施策による増収に加え、前期から実行しているコスト削減により、セグメント利益は72億79百万円と、前年同期に比べ31億31百万円の増益となりました。
同期間の店舗数は15店舗を出店し14店舗を閉鎖した結果、1190店舗となりました。

はなまる

売上高は214億29百万円と前年同期比8.3%の増収となりました。
増収の主な要因は、緊急事態宣言等による休業店舗日数が前期に比べ減少したことや、商業施設店舗を中心とした来客数が回復したことです。
また、 前期から実施しているテイクアウト、デリバリー需要の獲得により、既存店売上高が改善しました。

5月に導入したテイクアウト専用メニュー「はなまるうどん弁当」の好調な販売実績を受け、12月に更なるブラッシュアップを行いました。
デリバリー対応店舗は267店舗(前期末+75店舗)に拡大させることで需要の獲得に繋げました。

また、コロナ禍の厳しい環境下でもコンセプトである「毎日食べられるうどんで新しいライフスタイルの提案」を具現化すべく、年間を通じて連続的に季節の旬な食材を使ったフェアメニューを展開しました。

更に強みである「はなまるの生麺」について、初の試みとなる「夏麺」「冬麺」を導入し、季節ごとの味わいを今まで以上に追求しました。

顧客利便性の向上や新たな客層獲得に向けた取組みとしては、「楽天ポイントカード」の導入や「Pokémon GO」とのコラボレーションを実施しました。

また、新しい生活様式に対応した非接触型のモデル店舗の検証を進めています。

既存店売上高の改善や前期から実行しているコスト削減により、セグメント損失は13億16百万円と、前年同期に比べ17億29百万円の損失の減少となりました。
同期間の店舗数は、4店舗を出店し16店舗を閉鎖した結果、463店舗となりました。

海外

売上高は224億95百万円と前年同期比15.2%の増収となりました。
増収の主な要因は、前期に比べ営業時間の短縮、休業店舗数が減少したことです。

経済活動の再開が進むアメリカでは、テイクアウト、デリバリーの販売数が好調に推移した結果、既存店売上高は前年同期を大きく上回って推移しています。
また、ドライブスルーオーダーの集中に対応するため、2名同時調理で提供スピード向上が可能なデュアルラインキッチンシステムの導入拡大を進めています。

中国は前期の大規模な休業の反動によるプラス影響はありましたが、7月以降の感染症再拡大への厳格な対策による休業影響を受けて、依然として厳しい状況が続いています。

アセアンは9月以降の緩やかな感染症拡大の収束に伴い、店内飲食が段階的に解除されるなど回復基調となっています。

結果としてセグメント利益は11億29百万円と、前年同期に比べ5億54百万円の増益となりました。
同期間の店舗数は85店舗を出店し、77店舗を閉鎖した結果、974店舗となりました。なお、海外は暦年決算のため1〜12月の実績を取り込んでいます。

3. 会社規模

時価総額…1521億円(2022 年4月21日時点)
資本金手数料…102億円(2022年2月)
純資産総額…487億円(2022年2月)
従業員…3342人(2021年8月時点)

4. 業績

【3月の国内吉野家既存店は11.9%増収と堅調】
23/2期連結営業利益計画を前期比44%増の34億円としました。

人流の戻りによる店内飲食の順次回復や上述の値上げの通年寄与等を想定。
通期のグループ全体の出店計画は160店。国内吉野家では、従来のフルサービスのカウンター型店舗からセルフサービスのカフェテリア型店舗への転換を加速し、女性やファミリー層、若年層の獲得を図ります。
国内吉野家の通期の既存店売上高の前提は前期比6.0%増。3月は前年同月比11.9%増と堅調。1株当たり年間配当金計画は10円(上期末、期末ともに5円、前期予定は年10円)。

このように順調に業績が回復している吉野家ですが過去の決算についても見ていきましょう。

(単位:百万円)
決算期 売上高 営業益 経常益 最終益 修正1株益 1株配
2019.02 202,385 104 349 -6,000 -92.9 20
2020.02 216,201 3,926 3,369 713 11 20
2021.02 170,348 -5,335 -1,964 -7,503 -116.1 0
2022.02 153,601 2,365 15,642 8,116 125.5 10
予 2023.02 168,000 3,400 5,400 3,500 54.1 10

新型コロナの影響で2021年の決算は悲惨な結果になりましたが徐々に戻してきている状況です。今後も新型コロナの罹患者が大幅に増えない限り堅調な業績を期待できるのではないでしょうか?

5. 財務分析

株式投資や企業研究を行う上で財務分析は非常に重要です。
いくら成長が期待できる企業でも財務基盤が安定していなければ、安定的な経営はできないからです。
財務基盤は企業にとって非常に重要なものになりますのでしっかり確認するようにしましょう。
財務分析を行う方法は様々ですが、一般的には「成長性」「収益性」「安全性」の3つの側面を見るべきだといわれています。
それでは吉野家の財務基盤を「成長性」「収益性」「安全性」から見てみましょう。

(1) 成長性

成長性は一般的には増収率 (売上がどれくらいのびているかを示す指標)で判断されます。
年20%以上の増収率を達成していればかなり優秀であるといわれています。
吉野家の2022年の売上高は1563億円に対し2023年の予想売上高は1680億円と増収です。

(2) 収益性

最終利益は2022年が81億円、2021年は35億円の黒字です。75億円の赤字だった2021年から見ると大きく回復をしています。

(3) 安全性

安全性は自己資本比率が高いと良いとされています。安全性が高いとされている目安は33%です。吉野家の自己資本比率は、42.9%です。安全性もまったく問題ありません。

6. トピック:吉野家HDの河村社長「さらに進化」 増収増益目指す新中計

吉野家ホールディングスは13日、2025年2月期を最終年度とする3年間の中期経営計画を発表しました。同日開いた会見で、河村泰貴社長は「基幹事業である吉野家はさらに進化していく。その他の事業は再生を期していく計画」と説明。

25年2月期の売上高は23年2月期見通し比 7.1%増の1800億円、 営業利益は同2.1倍の70億円を目指します。同期間には出店や改装などに計300億円を投じる予定です。従来店舗の改装で若年層や女性客の増加効果がみられるといい、河村社長は「新しい客層を獲得することで、将来的に出店ボテンシャルの拡大につながっていくものと確信している」と強調ししました。

さらにM&A(合併 買収)用に100億円を確保します。足元で進んでいる円安については「基本的に円貨契約となっているので、影響はすぐに出ない」としましたが「今の状況が続けば来期以降の経営計画に影響するものと考えている」と説明。

「世界中から食材を輸入しており、あまり過度な円安は歓迎しない」と述べました。 商品への価格転嫁は「現時点で決定していることはないが、販売価格は常に検討している」としました。

吉野家、不適切発言の取締役を解任

吉野家ホールディングスは19日、同社執行役員で子会社の吉野家常務取締役の伊東正明氏を18日付で解任したと発表。
18日に開いた臨時取締役会で決めました。伊東氏は、外部の社会人向け講座に登壇した際に女性蔑視の発言をしていました。

吉野家HDは解任の理由として「人権・ジェンダー問題の観点から到底許容することのできない職務上著しく不適切な言動があったため」と説明。

5月にグループ役員向けの研修を開くなど「コンプライアンス遵守の徹底に取り組む」としています。

7. 今後の業績見通し

吉野家は、他の飲食店と同様に、新型コロナウィルスの影響で大きく業績を落としました。
しかしその後テイクアウトやデリバリーなどの需要をうまく取り込み、業績は回復基調にあります。 株価も回復基調にあり、発表された中期経営計画も強気であることからさらなる上昇が期待できるのではないでしょうか?

8. まとめ

今回は、牛丼チェーン大手の吉野家について紹介しました。1度は吉野家を利用したことがある方は多いでしょう。
吉野家は新型コロナウィルスの影響でかなり苦しめられましたが、ようやく回復しつつあります。 株価も回復基調にありますのでぜひ今のうちに投資をしてみてはいかがでしょうか。